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『サトコとナダ』 第2巻 ユペチカ(著) 西森マリー(監修) 【日刊マンガガイド】

2018/01/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『サトコとナダ』



『サトコとナダ』 第2巻
ユペチカ(著) 西森マリー(監修) 講談社 ¥640+税
(2017年12月8日発売)


『このマンガがすごい! 2018』オンナ編で第3位にランクインした『サトコとナダ』の第2巻が早くも登場した。

最初はいくばくかの戸惑いとともに始まった、ごくごく普通の日本人サトコと敬虔なイスラム教徒のサウジアラビア人ナダの女子2人によるルームシェアだったが、毎日の積み重ねでさらに仲よくなっていく様子が微笑ましく、読む方にもたくさんの気づきが得られる。

サトコがアルバイトを始めたり、アメリカンなパーティに誘われたり、お互いの言語で数の数え方を教わったり……。
とりわけ、サウジアラビアでの日本製アニメにおける、描写の規制の独特さについては、知っておいて損はないだろう。

しかし、今回の重要なターニングポイントは、ナダに結婚話が持ちあがることだ。
お相手の「アブダーラさん」は、写真が送られてきたのみだが、決して悪い人ではなさそう。
ちなみに、その人となりを調べるのに、ナダがSNSを駆使するあたりが今風だ。
第1巻の時点で、恋愛を通過しない結婚を大いに肯定しているナダだが、それでも、もの思いにふけることもある。サトコにとっても複雑だ。
2人で家族のように暮らしていたこの生活にも、終わりがあるのを意味するのだから。
しかし、余計なことをいわずに見守り、さりげなく気分を変えさせようとするサトコの、日本人らしい心づかいは、とても美しい。

そんなサトコが留学を決意するまでの経緯や、著者のサウジアラビア行き体験記(意外に快適だったそう!)も興味深い。
次巻では渦中のアブダーラさんご本人についてもクローズアップされる模様。
ナダとサトコの関係はどうなっていく?
あたたかく見守りたい。



<文・和智永妙>
「このマンガがすごい!」本誌のほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集。とある学生街に在住し、いろいろと画策(だけ)しつつ、男児育てに追われる日々です。

単行本情報

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