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『囚人リク』第19巻 瀬口忍 【日刊マンガガイド】

2014/10/31


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『囚人リク』第19巻
瀬口忍 秋田書店 \419+税
(2014年10月8日発売)


脱獄モノはおもしろくならないわけがない。
冤罪を着せられた主人公の怒り、社会の理不尽に制服を着せたような看守たち、自由も時間も奪われた絶対不利を知恵と駆け引きと悪運で覆すカタルシス。それだけに、映画やマンガがしのぎを削る激戦区だ。

リクこと栗田陸は13歳の小柄な少年。『プリズン・ブレイク』のマイケルのように刑務所の見取り図を全身に彫っておくほどアタマも切れず、『ショーシャンクの空に』のアンディみたいに元・銀行家ならではの特殊技能も持ってない。
育ての親のおじさんを殺した罪を着せられ、真犯人が警視総監だと知って脱獄したい。ただ、どうやったらいいのかわからない。こんな「なにも持ってない」脱獄マンガの主人公、見たことない!

いや、リクにはまっすぐさがあり、困ってる人を見れば放っておけない義侠心がある。
腕っぷしも強くて悪知恵もまわるレノマに体当たりでぶつかり、殴り合ったら(というほど相手になってない)義兄弟。そんな「脱獄もの×ヤンキーマンガ」展開が、最高に決まってるのだ。

リクと心をひとつにチームも固まり、脱獄の仕込みも佳境。
クールなレノマが取引材料にヌード写真を手に入れるため頬を赤らめ、ワンチャンスを作るために江田と松尾のパワーブラザーズが鼻血を噴き出してフェンスをぶっこ抜き、笑いあり熱さありスペクタクルもあり。

しかし、ひとつひとつは「発火装置をムショに持ち込む」→「フェンスの向こうにある電子ロックを発火させる」→「同じ装置を使ってるヘリポート(脱獄用)からロックを撤去させる」という地道さ。ひと手間違うと切れてしまう脱獄のクモの糸を仲間たちが繋げていくおもしろさは、脱獄もの×ヤンキーマンガならでは!



<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。

単行本情報

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