『監獄学園』第15巻
平本アキラ 講談社 \552+税
(2014年11月6日発売)
男女共学になったばかりの元女子校・私立八光学園に入学した5人の男子生徒。
さらに女子風呂を覗いた罪で懲罰塔(プリズン)に投獄され、別の意味でのパラダイスに堕ちるのだった……。
画力が見違えるほど上がっていく漫画家は珍しくないが、平本アキラは群を抜いている。
『あごなしゲンと俺物語』の作者が『俺と悪魔のブルーズ』を連載したときは本当にビックリ。素朴な描線が味だったギャグマンガと緻密な描きこみが情念を立ち昇らせる伝奇ものが、頭のなかでどうしてもつながらなかった。
このままシリアスに行ったきりなのか。ギャグの時は絵柄を使い分けるのか……どちらの予想も裏切り「緻密な作画×ギャグ」という豪速球が本作だった。
したたる汗一滴さえも逃さないハイレベルな画力は、「エロ!」の一点に全振り。はちきれんばかりで実際にはち切れるバスト、ヤバいラインに食いこむパンツ。
汗っかきだから露出度が高い裏生徒会の副会長が腕立て伏せ、けれど胸がデカすぎてトレーニングになってなかったり、罰を与えるムチがご褒美になってたり。「処女と童貞は絶対に守る」という一線を守ってるため、よけいにエロい。
コメディアンは本人が笑ってはいけないが、本作のエロ(?)ギャグも大まじめだ。
好きな女子に「私のオッパイ揉ませてあげる」と言われ、脳内に「肉食系/草食系/犯罪係/弱虫系」と脳内マトリクスを描き、「オッパイに敬意を払いつつ少しエッチな揉みかた」の最適解を導き出す主人公・キヨシ。
欲望の赴くままに揉みまくっちゃダメだ、次も円滑に揉ませてもらえる揉みかたを……とローリスクハイリターンの揉みかたを考えているから。おっぱいカイジ!
行為には及ばなくても「どう揉むか」の妄想シミュレーションだけでお腹いっぱい。しかし、最高に萌えるのは、ツーショット写真などキヨシとのフラグを着々と立てている裏生徒会書記の緑川花だったりする。
エロも純愛もギャグもぎっしり詰まってる、なんて贅沢なマンガだろう。
<文・多根清史>
『オトナアニメ』(洋泉社)スーパーバイザー/フリーライター。著書に『ガンダムがわかれば世界がわかる』(宝島社)『教養としてのゲーム史』(筑摩書房)、共著に『超クソゲー3』『超ファミコン』(ともに太田出版)など。