『ドーナツ父さん』第2巻
赤堀君 講談社 \552+税
(2014年11月21日発売)
つぶらな瞳の4歳児・誠司(なぜか半裸)と、無職の父が繰り広げる日常ギャグ第2巻。
松本大洋か、はたまたキーンのポップアート「ビッグ・アイズ」か……といったキュートな絵柄に、いわゆるイイ話を期待して読んだら、イイ意味で裏切られること間違いナシ!
「ヒマだねー父さん」「ああヒマだなぁー誠司」
「じゃあなんか話してよ なるほどーってなるやつとかさ」
「じゃああれだ グーグルって知ってるか?」
「うん あの何でも教えてくれるやつでしょ」
「そう あの検索するやつ……あれ父さんだ」
金と甲斐性のなさゆえに苦しいフリやボケをカマしては、自分の首を絞めてゆく父さん。純粋ゆえに鋭いツッコミで大人の事情に容赦なく斬りこんでゆく誠司。
そんな2人のかけあいは、若手お笑い芸人のコントさながら。
決してイージーには笑わせない、ブラックかつシュールな「笑えない笑い」は素か? はたまた確信犯か?
謎ながら、その寸止め&消化不良感がミョーに気持ちよくて、ずっと2人の掛け合いを眺めていたくなるような不思議な中毒性がある。
2巻ではナチュラルボーン毒婦(?)な凛ちゃんや、五七五少年カズシなど、さりげに濃ゆ~いサブキャラも台頭。
ゆるーく読み流すつもりが、アナタもきっと気が付けばドーナツ中毒!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69