『蛙のおっさん』第2巻
島袋全優 講談社 \429+税
(2015年1月9日発売)
人間がカエルの姿になるというモチーフは、ファンタジーの名作にもいくつか例がある。有名なのは、グリム童話『蛙の王様』だろうか。
……が、しかしである、おっさんがカエルというのは斬新だ。
アプリ「マンガボックス」で連載されている『蛙のおっさん』は、頭がカエルで体は人間のおっさんが、普通の小学生と美人のお母さんと一緒に暮らすコメディ4コマ。
おっさんは、タバコも吸うし、ごろ寝しながら相撲中継ばかり見るしで、本当にただのおっさん……。でも頭はカエル!
時に喉を膨らませたり、透明なまぶたを閉じて寝たり、カエルの性質もちらほら顔を出す。そこがまた笑える。
おっさん以外にも変わり者は登場するが、基本的にはありふれた日々の生活が描かれる。
見た目はメルヘン(!?)、空気は日常、中身はシュール。この摩訶不思議なたたずまいにやられてしまう。
おっさんが居座る家の住人・小学生のユキオとの、どこかよそよそしい関係性を見ると、おっさんは母親の再婚相手の暗喩という気もするが、どうだろう?
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でライトノベル評(ファンタジー)を連載中。
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