アナーキー・イン・ザ・JK
位置原光Z 集英社 ¥555
(2014年5月19日発売)
コミティアなどで活動していた著者による、初の商業単行本。
性的な事柄に興味津々のJK=女子高生たちの日常を描いた表題作など、内容はもっぱら漫才のように軽快な掛け合いで構成された「猥談」で構成されている。少々キツめな下ネタが多いながらも、不思議と読後に不快感が残らないのは、登場キャラクターに共通する無邪気さと、作者独特のポップな絵柄のおかげだろう。
また、本作で特筆すべきことのひとつに、カバーイラストにも大きくフューチャーされている、単眼(まるで一ツ目小僧のように、顔の中心部にひとつだけ大きな目がある!)の女子高生・吉川っちの存在がある。単眼というパンチの効いた外見的特徴を持ったキャラクターを描く場合、一般的な感性であれば、周囲からのリアクションや、そもそも彼女が単眼であることの説明……などを描いてしまいがち。
しかし作者は、単眼を髪の色や身長の高低差と同レベルの「個性」として描き、結果的に吉川っちから「かわいい」以外の無駄を廃してしまっている。
キツい下ネタも単眼という異形も、著者の前では等しく「かわいいは正義」なのだ。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。