罪×10 1
山内泰延 スクウェア・エニックス ¥ 534
(2014年4月22日発売)
『男子高校生の日常』でスマッシュヒットを飛ばした山内泰延の最新作。日常に現れる様々な犯罪をテーマにした、オムニバス形式のシチュエーションコメディである。
『男子高校生の日常』と比べ、登場人物や舞台設定が広がった自由さもあってか、ひとつひとつのネタのキレ味は前作よりもずいぶんと鋭い。物語に登場するキャラクターも、銀行強盗に対して的はずれな態度ばかりとる行員や、ハイジャック犯との約束を守ろうとしないキャビンアテンダントなど、どこか常識からピントが外れた人々ばかりだ。
前作からのファンのなかには、過激でブラックなネタの数々に面食らう人もいるだろう。 しかし、過去の作品にも、ギャグとして成立するギリギリのラインを狙った不穏な演出が少なくはなかった。むしろこちらが自然体なのではないだろうか。
若き実力派作家の、さらなる飛躍を期待しよう。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。