『大長編ドラえもん15 のび太の創世日記』
藤子・F・不二雄 小学館 \390+税
6月6日といえば、UFOがあっちにいったり、こっちにいったりしたあげく落っこちる日だ。
詳細には言及しないが、歌を口ずさみながらそのとおりにペンを動かすと、あっという間にドラえもんの絵が描けたりするという、アレである。
というわけで、ドラえもんのひみつ道具のなかにはUFOらしいものは数多く存在するが、やはり「UFOカメラ」を忘れてはならない。
このひみつ道具は、藤子・F・不二雄『ドラえもん のび太の創世日記』に登場。小型のUFOにカメラがついていて、自由自在に遠隔操作して映像を撮影できる……って、まるでドローンのような道具なのだ。
ドローンとは、首相官邸に不時着したり、イギリス大使館に落下したり、いま世間を騒がせている小型無人航空機のこと。
最新のテクノロジーが出てきた時に『ドラえもん』をひもとくと、かならずそれに類するようなひみつ道具が見当たるのだから、あらためて藤子・F・不二雄の発想力に驚かされるだろう。
とはいえ、「UFOカメラ」は22世紀のガジェットなので、現在のドローンよりもはるかに高性能。
水のなかでも自在に運行できるし、髪の毛をセットしてそのDNAを追っかけることも可能だ。こんなものがあったら、犯罪捜査は飛躍的に発展しそうで、頼もしいやら恐ろしいやら、である。
この「UFOカメラ」を使い、のび太がみずから「創世セット」で作り上げた新世界をチェックしていると、生物の進化の瞬間に立ち会うことになる。
そこでとったのび太とドラえもんの行動が、本作『のび太の創世日記』のキモとなるのだ。
ちなみに、先日ドローン騒動に巻き込まれたイギリス大使館は、宝島社と同じ東京都千代田区一番町にある。というかおとなりである。
どうせあっちいってこっちいって落っこちるなら、同じ町内の宝島社(それも「このマンガがすごい!」編集部)に激突していれば笑い話ですんだのに。残念!
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama