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『お尻触りたがる人なんなの』 位置原光Z 【日刊マンガガイド】

2015/06/23


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『お尻触りたがる人なんなの』
位置原光Z 白泉社 \780+税
(2015年5月29日発売)


ほんとなんなんだろうね(タイトルに対して)。
人間には性がある。で、性はたいてい隠すもので、他人が知らない部分が多い。
普段気にならないものも、角度を変えてみると、急にエロティックになるものだ。

たとえば女性は、あまり自分の女陰(女性器)を見ない。角度的に難しいしね。
しかしここで「見たことあるよ」という人がいたら。ではどうやって見たのか? 毛はどうだったか? というピュアな疑問が生じる。ピュアな。
さらに、最近交際をはじめた2人が知りあいにいるとする。
となると、己の女陰の形を知らぬ娘と、その女陰の形を知る男が一緒にいる、ということに気づかされる。

たとえば「素敵なだんなさんと結婚して子どもたちと幸せな生活を送りたい」と考えているとする。
これは男からすれば「女を孕ませたい」という言葉に置き換えることができる。
また「男に孕まされたい」ともいえる。
そこすっとばして、結婚して子どもは産めないでしょう? あってるでしょ?

主に学生を中心に、性のあり方を、「冷静に考えたらこうなんじゃね?」という斜めから切っていく作品集だ。
とくに異常性欲の表現は、ちょっと忘れられなくなるレベル。
ある少年が「おまんま見せてくれね?」「オカズにするから」といってくる。
女の子たちは断れなくなった結果OKを出す。彼は「女の子がごはんを咀嚼中の口のなかを見て、興奮しながらメシを食う」という性癖の持ち主だったのだ。
おまん○とこれ、どっちが恥ずかしいだろう。
同列に「肩こりの女の子の肩もんでいたら、おっぱいもみたくなってきた」という、まああたりまえな欲棒も描かれる。 どちらも、「欲望」であることには変わりないのだ。

人と人との間には、どういう形かよーわからんけど、いろんな欲望がある。
欲望を果たすには、大抵の場合両者の了解が必要になる。
このマンガでは、内容はともあれ、ほとんどが「了解」のうえに成り立っている。
よだれを啜りたい、という少年に、少女は「キス」はダメだといった。
だからかわりにストローをくわえて、アメをなめてよだれをためた。これが「了解」。
相互に了解ができたときに生まれるものが、「恋愛」である。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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