このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

6月25日は自動車教習所の日 『森山中教習所』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/06/25


moriyamachuKyoushujo_s

『森山中教習所』
真造圭伍 小学館 \524+税


何事にも無関心・無感動で、別れ話も淡々と進める大学生・佐藤清高。
そんな彼がその別れ話の途中でなぜか突然切り出したのは、別れる理由でも最後の言葉でもなく、免許取得宣言!?
ひょんなこと……いや、なかなかの大事故から清高はただで自動車教習所に通えることになるも、その教習所というのは……!?

こちらは真造圭伍『森山中教習所』のプロローグだが、本日6月25日は“自動車教習所の日”。
1960年のこの日、「道路交通法」改正によって教習所制度が始まったことにちなみ、自動車教習所協会連合会が制定したものだ。“"指定自動車教習所制度”を導入した道路交通法の公布日が、すなわち記念日。
ただ、6(ム)・25(ジコ)=無事故と、結果として語呂合わせにもなっているのも、秀逸なところ。

さて、『森山中教習所』の清高も教習所に通うことになるが、山と田んぼに囲まれた元・中学校のそこは、なんと非公認教習所! 運転の練習はできても試験を受けることはできない。そのうえ集まった人々は、どう見てもワケありの人々ばかり。それでも意に介さない清高は、ゆるくも暑いひと夏を、この教習所で過ごすことになる。

抜けた笑いがありつつも、どこかなんだかせつない気分にさせてくれるのが、本作の魅力だ。ニューシネマの青春映画のような味わい。デビュー時の望月峰太郎(現・望月ミネタロウ)や松本大洋さながらの才能だ。
普通に考えれば、免許を取るなら指定教習所に行ったほうがよいわけだけど、マンガのなかでだし、非公認教習所のペーソスあふれる青春を体感してみるのもオツなものだ。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

  • 『森山中教習所』 Amazonで購入
  • 『ぼくらのフンカ祭』 Amazonで購入
  • 『台風の日 ―真造圭伍短編集』 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング