『後遺症ラジオ』第2巻
中山昌亮 講談社 \648
(2014年6月9日発売)
生理的感覚に訴えかけるおぞましさなら天下一品の、『不安の種』の作者が放つ本作。
短編ホラーであり、連作としても読める構成が絶妙だ。とくに、すべての話がつながっているわけではないところがいい。
読み進めていくうちに「あ、これはあの話と関連してるのか」と、ときどき気づかされる……。“過去の恐ろしい残像”を思い出しながら読むことで、恐怖が増幅するのだ。
いやな予感を感じつつも、ページを繰る手は止まらない。そして訪れる「ああ、見ちゃった」という“後悔”。
大きな恐怖のなかの、一滴の快感。
全編を貫くモチーフとなっているのは、髪の毛だ。
失恋したときに切ったり、形見や願掛けに使われもする“髪”には、昔から人の想いが宿ると考えられてきた。
作中、人々が思い詰めた顔で手を合わせる「おぐしさま」とは、いったい何なのか。その正体を知りたくもあり、知るのが恐ろしくもあり……。
“最高の後悔”を期待してやまない作品である。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」