人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、ふじた先生!
「このマンガがすごい!2016」オンナ編1位を獲得した『ヲタクに恋は難しい』(通称「ヲタ恋」)。
これからますます「ヲタ恋」ブームが盛り上がること間違いなし! 作者のふじた先生に、「ヲタ恋」誕生秘話、それぞれ異なるヲタク属性を持つ個性的なキャラクターについてなど「ヲタ恋」ワールドをさらに楽しめるウラ情報を 本誌
『このマンガがすごい!2016』
でふじた先生にインタビュー!
そんな本誌では紹介しきれなかったお話を盛りこんだディレクターズカット版として、『このマンガがすごい!WEB』限定でお届けします!
「ヲタ恋」の成り立ちから今の大ヒットに至った経緯までを赤裸々に語ってくださったインタビューはコチラ!
マンガ専門学校時代の友人との “妄想話”が出発点
――そもそも「ヲタ恋」という作品はどんなきっかけから誕生したのでしょうか。
ふじた 始まりは、マンガ専門学校時代の友人とのおしゃべり……というか妄想話からです。
――妄想話とは?
ふじた お互いキャラを作って、話を考えるという……。まずキャラクターを作るんです。腐女子でヲタクの女の子と、ゲーマーのヲタク男子がつきあったらどんなふうになるかな、どんなことが起きそうかなとか。
――話しながらキャラクターを固めて、お話を作っていく感じですか?
ふじた そうですね。このキャラがこんなこと言ったらおもしろいよねとか、思いつきを言い合って。「こんな場面ならこうするんじゃない?」「いやそこはハードなゲーマーだったらこういう発想にいくんじゃない?」とか。
――話しながらブラッシュアップしていくわけですね。そんな作りかたは初めて聞きました。「ヲタ恋」は身の回りのヲタク友だちをモデルにするとか、実話が元ネタになっているのかなと思っていました!
ふじた なにしろマンガを作りたいと思っている人間同士なので、こういうの学生時代から日常的な遊びとしてよくやっていたんですけど。私はけっこうこれが好きで。
――遊びというか、立派に漫画家のトレーニングといえますよね。
ふじた 成海と宏嵩の妄想話があまりにもおもしろくできあがってしまって……おしゃべりで終わらせずに絵で描いてみたくなったんです。2人ともかわいいキャラだから人に見てもらいたい、恋を第一義に考えてない同士の難しさ、不器用さを描いたら絶対おもしろくなるぞと思って。友人にも許可をもらって描くことにしたんです。
――「ヲタ恋」を描く前はマンガの作りかたに悩んでいたとおっしゃっていましたが、自然に「描きたい」気持ちになれたんですね。
ふじた はい。そういう気持ちになれたのは久しぶりでした。私はもともとキャラクターから先に考えるほうなんです。あとから考えると、行き詰まっていた時って、ストーリーを転がすためにキャラクターの性格を後づけで考えていたんですよね。そうするとキャラの個性が薄れて、自分がつまらなくなってしまう。キャラに思い入れできなくなると、話がふくらまなくなる、それで頓挫する……という悪循環に陥ってたんです。「ヲタ恋」に関しては最初にキャラをしっかり作りあげられたのがよかったと思います。
――魅力的なキャラが作れればいくらでもストーリーは転がる、というのはよくいわれることですがその典型のような例ですね。この2人ができた今、お話のネタには事欠かない?
ふじた くだらないネタなら……いくらでも思いつきます(笑)。
――今後はどんな場面を描いてみたいですか?
ふじた いろいろありますね。昔のまだかわいかったころの成海と宏嵩のエピソードとか。
――2人は小中学校が同じで、当時もよくいっしょに遊んだ仲だったんですよね。1巻にもちらっとだけ出てきますが……宏嵩はその頃から成海を意識していたっぽい?
ふじた 1巻でももっとその話をクローズアップしようかなとも考えたんですが、ちょっと重たくなりそうに思ったので編集さんと相談してやめたんです。あと、描きたいのは……期待してくださってる方も多い、樺倉(かばくら)と花子の話。2人の高校時代のエピソードとか。
――樺倉と花子はバレー部時代の先輩後輩だったんですよね。どんなふうにやり合って、どんなふうに恋が芽生えていったのか気になります。2人のユニフォーム姿も見たい!
ふじた ありがとうございます。私も描くのが楽しみです。この2人の激しいやりとりを描くの、すごく楽しいので!
「ヲタ恋」が2倍楽しくなる ふじた先生直伝の読みかた
――そういえば『ヲタクに恋は難しい』というタイトルは最初から決まっていたんですか?
ふじた 数話分くらい描いた時に思いついたんです。「ヲタ恋」って略して呼んでもらえたらいいかも、と。
――えっ、その時すでに略称まで考えてたんですか!?
ふじた はい、友だちに相談したりして。でも……思いついたもののこういう性格なんで、タイトルに「恋」って言葉が入るのがめっちゃ恥ずかしくて。ほかになにかいいのないかなと、しばらくジタバタしてました(笑)。
――ふじた先生かわいい……今、キュンとしちゃいました(笑)。すごく秀逸なタイトルだと思います!!
ふじた 長いタイトルを略して呼ぶと、なじみやすくなるというか愛着を持ってもらえる気がして。そんなことを言ってたら友だちが「ヲタ恋」っていうタグをつけてくれまして……それでみなさんに「ヲタ恋」って呼んでもらえるようになったんです。
――ところで……『ヲタクに恋は難しい』の“ヲタク”とは、成海と宏嵩、どっちを指しているのでしょうか。
ふじた それは……またのちのちということにさせてください(笑)。読んでいる方によって受けとりかたも違うと思うので、ここは作者が限定しないほうがいいかなと。
――なるほど……。
ふじた 成海も宏嵩も恋に不慣れなヲタクではあるんですが、2人それぞれに違った“恋が難しい理由”があるわけで、それを読み手の方が見つけてくれたらいいかなと。でも、ヲタクに限って難しいことでもないですよね、恋って。……なんて、マジレスーーって感じですけど(笑)。それをふまえたうえで読んでいただきたいなと思います。
――そこを考えながら読むと、また新しいおもしろさが広がりそうです。ありがとうございました!
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取材・構成:粟生こずえ
撮影:辺見真也
(C)ふじた/一迅社