『神様はじめました』第1巻
鈴木ジュリエッタ 白泉社 432
児童文学の名作『星の王子さま』で知られるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが生まれたのは、1900年6月29日である。
『星の王子さま』の作中で、主人公の王子は、地球で出会ったキツネに「物事は心で見るべきであり、大切なことは目に見えない」という、人間が忘れてしまった真理を教わる。
マンガの世界でも人間に触れ合う“キツネ”はたびたび登場する。
鈴木ジュリエッタ『神様はじめました』では、廃神社「ミカゲ社」を譲り受けて土地神となった女子高生・桃園奈々生が、野狐の妖かしである神使・巴衛と出会う。
巴衛は普段は耳もしっぽも出しており、見た目も半妖なのだが、奈々生の学校に行く際には、変化の術で耳としっぽを隠し、人間「御景巴衛」として学園生活を送る。
冨樫義博の大ヒット作『幽☆遊☆白書』に登場する人気キャラクターの蔵馬(人間名は南野秀一)は、長い年月を生きたキツネが妖怪に変化した「妖狐」である。高橋留美子『犬夜叉』にも、七宝という子狐妖怪が登場する。
『星の王子さま』をはじめ、童話や小説、伝説・民話・昔話などに多く登場する動物であるためだろうか、マンガでもキツネのキャラクターは、まだまだ多数存在する。ぜひ探してみてほしい。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter: @mikitty116