365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月9日はクイズの日。本日読むべきマンガは……。
『ナナマル サンバツ』第1巻
杉基イクラ KADOKAWA ¥560+税
1月9日はイチとキュウで一休さんにひっかけて「とんちの日」&「クイズの日」。
一休宗純は実在の人物ではあるが、オーバー40世代にとっては70年代後半から80年代前半にかけて放送された「あわてない、あわてない。ひと休み、ひと休み」でおなじみのTVアニメ『一休さん』が頭に浮かぶはず。
正義感の強い小坊主の一休さんが、とんちを使って事件を解決したり、大人たちをやりこめたりする姿に子どもたちは拍手喝采。とんちを働かせる際に人さし指で頭をくるくると回転したあと、ポクポクポクと木魚が流れ、チーンという音とともに目を見開く定番シーンもじつに楽しかった。
ここであらためて説明しておくと「とんち」とは「その場に応じて瞬時に出てくる知恵」のこと。
「クイズ」とは「知識を問い、答えさせる遊び」のことなのでイコールではないが、早押しなどの「競技クイズ」は、いわゆる「とんち力」が必要不可欠だ。
たとえば「先ごろ芥川賞を受賞したお笑い芸人といえば……」という問題に対して早押しボタンを叩き、「又吉直樹!」と答えても競技クイズでは恐らく不正解。この場合は問題の先を読んで「羽田圭介!」と答えたほうが正解する確率が高い。
つまり「芥川賞をとったお笑い芸人といえば又吉直樹ですが、その又吉と同時受賞した作家は?」という問題だと推理して答えるのだ。
「ですが問題」、もしくは「パラレル」と呼ばれるこの手のクイズにはド定番のベタ問があり、大学や高校のクイズ研究会では、それを徹底的に暗記して各種大会に挑んでいるという。
そんな競技クイズをテーマにした作品が杉基イクラの『ナナマル サンバツ』だ。
タイトルは早押しクイズの形式「7問正解で勝利、おてつき3回で失格」に由来している。設定はオーソドックスで、高校に入学した本好き少年の越山識(こしやま・しき)が、クイズマニアの美少女・深見真理に誘われてクイズ研究会に入り、得意分野の文学や歴史を武器にしつつも、知識だけでなく反射神経をも問われる競技クイズの奥深い魅力にどっぷりとハマっていく様が描かれる。
テレビのクイズ大会で、大人にもなじみがない固有名詞をバンバン即答していく少年少女に呆然とすることもしばしばだが、本作を読めば、そのカラクリの一端をうかがい知ることができるだけでなく、毎年恒例の『全国高等学校クイズ選手権』(日本テレビ系列)やあまたのクイズ番組を別の角度から楽しめることうけあいですよ!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)。