日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『服を着るならこんなふうに』

『服を着るならこんなふうに』第1巻
縞野やえ（著） MB（協） KADOKAWA ￥980+税
（2015年12月10日発売）

「服を買いにいく服がない」

我々オタク男子の永遠の課題である。
人類史が始まって以来、この難題は我々の目の前に立ちふさがり、だからこそ我々は今日も某ユニクロに赴き、とりあえずジーパンとかなんか黒い上着とかなんか黒いTシャツとかよりどり5本の靴下（全部黒）とかを買うのである。
そんな、迷えるオシャレ子羊に堕ちた罪人に手をさしのべてくれそうなのが、本作『服を着るならこんなふうに』だ。

筆者と同じ「服を買いにいく服がない系」男子な20代後半の青年がファッション好きの妹から、服選びのイロハを教わるというハウツーものだが、毎話、毎話、「ユニクロに行って、スキニーフィット・テーパードジーンズ黒を買え」とか「スニーカーは黒を買え」とかじつに具体的でシンプルなのがよい（逆によくこれでよく1話もたせてるなと感心するぐらいである）。
くわえて「日本人は胴長短足だから下半身の色を合わせると足が長く見える」とちゃんと理由が説明されるのもよい。

ただまあ、この主人公の青年、もとの素材はよいというか、会社では「爽やかでまじめなホープ」なので、もしかしてあれか、オタク男子永遠の課題その2「ただしイケメンにかぎる」じゃねえか？　とも思うのだが、とりあえず今度ユニクロに行ったら、評者もさっそく“すきにいふぃっとてーぱーどじーんずの黒”というものを買って着ようと思うので、だれか、判断してください。

＜文・前島賢＞
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas