日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『お酒は夫婦になってから』
『お酒は夫婦になってから』第2巻
クリスタルな洋介 小学館 ¥593+税
(2016年1月12日発売)
職場ではあまりしゃべらず、仕事一辺倒な主任の水沢千里(みずさわ・ちさと)、28歳。だれからも認められる、まじめでちょっと堅物な、やり手。
しかし、家に帰ってから、夫のソラ(壮良)の作るお酒を飲むと豹変。
超絶甘えん坊さんになるのだ。かわいい!
ふだん彼女は、気を許さない。だから2巻に入っても、同僚とお酒を飲むことはしない。
少しでもお酒が入れば気がゆるむ。そんなことしたら、イメージがあっという間に崩れてしまうのを、本人もわかっている。
ところが夫のソラは、人前でもちーちゃん(彼は千里をそう呼ぶ)のことを「愛してますから」と堂々と言う。
ちーちゃんはたんなる甘え上戸ではない。やはり気をつかう場面もあるし、お酒を飲まないよう我慢する一面もある。
ソラは彼女のストレス度合いを見はからい、彼女が少しでも安心できるように、励まそうとお酒をつくる。彼女のすべてを受けとめる準備ができている。
だから、ちーちゃんはソラの前でだけ飲み、甘えるのだ。
2巻では感嘆詞「しふくぅ」もバリエーションが増えた。
なかでも一番印象的なのは「愛がしふくぅ」だ。
完璧超人なちーちゃん、ただし家事全般ができない。
ソラは、彼女ががんばっているのを知っているので、いっさい責めない。
むしろ彼女自身のコンプレックスをうまくフォローする。このさりげなさが、お酒以上に酔わせてくれる。
順風満帆なことばかりじゃない。だからこそ、2人きりでお酒を飲む瞬間は、至福のひと時だ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」