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3月22日は屋島の戦いが起こった日 『平家物語』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/03/22


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

3月22日は屋島の戦いが起こった日。本日読むべきマンガは……。


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『平家物語 一 月の船、星の林』
佐久間智代 集英社 ¥648+税


1185年3月22日。讃岐国屋島にて、源平合戦のひとつである屋島の戦いが起こった。
那須与一の「扇の的」のエピソードが有名な合戦だ。

1180年の5月に始まった源氏と平家の戦いも終盤となり、平家はもはやあとがない状態。
一ノ谷で源氏に敗れた平家軍は屋島に逃げこんだが、源義経を大将にした源氏軍は嵐をものともせず奇襲をかけ四国に上陸、平家軍を追いつめていく。
そして平家軍は陥落し、最後の壇ノ浦の合戦でついに滅びることとなる。

今回ご紹介するのは、源平合戦における平家方の物語を連ねた『平家物語 一 月の船、星の林』。
なかでも最後に収録されている「遠い昔の夢」に注目したい。

この物語に登場するのは、平教経と、その臣下である菊王丸。
菊王丸はこの屋島の戦いで命を落とし、墓も屋島に残っている。
今でも源平ゆかりの地のひとつとして知られており、歴史ファンがよく訪れる場所となっているとのこと。

平教経のもとに使用人としてやってきた、菊王丸。
兄である通盛から遣わされた彼は、美貌で力持ち、働き者で、人気も評判もすこぶる高い。
しかし教経は菊王丸を警戒していた。兄との関係が、こじれる一方だったからだ。

やがて、彼の予感は的中する。
とある真夜中、教経の寝所へ向かう菊王丸の姿があった。
そして、その手には鋭い刀が握られていたのだ――。

通盛と教経兄弟の確執。
その狭間に立たされる菊王丸。
結局暗殺は未遂に終わり、やがて兄の通盛が一ノ谷で戦死。
菊王丸は、そのまま教経に仕え続ける。

時は流れ、ついに屋島の戦いが起こった時、菊王丸が教経のために取った行動とは……?
歴史に詳しい方なら、このあたりのいきさつはすでにご存じだろうが、ぜひもう一度本作で味わっていただきたい。史実をドラマティックに演出し、いっそう印象を深めた数々のエピソードがあなたを楽しませてくれるはずだ。

著書は美しい絵柄で、滅びゆく平家の哀しみを静かに描き出していく。
この巻に集められた物語の登場人物には、平敦盛、平知章といった少年たちもいて、彼らもまた戦場で討たれ、その若い命を散らす。

今は3月も半ばをすぎて、ちょうど桜の開花の便りが聞かれる頃。
花の命は短くて、どこか『平家物語』の無常観にも通じるものがある。
そんなおりには、遠い昔の哀しい物語に思いをはせてみるのもよいのではなかろうか。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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