365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月14日はブラックデー。本日読むべきマンガは……。
『ルサンチマン』上巻
花沢健吾 小学館 ¥895+税
今日は4月14日。隣国韓国では2月14日のバレンタインデー、3月14日のホワイトデーのどっちにもイベントに恵まれず恋人ができなかった者たちが、黒い服を着て集まり黒いものを食べる「ブラックデー」という催しが行われるのだという。
いいじゃん、ブラックデー、日本でも流行れ!!
さて、というわけで今日はそんな恋人に恵まれないオレたち、非モテの日、ブラックデーにちなんで『ルサンチマン』を取りあげたい。
人気マンガ『アイアムアヒーロー』の実写映画も公開間近の花沢健吾による初めての連載作品だ。
主人公はハゲでデブでメガネで素人童貞で実家暮らしという夢も希望もない30歳……それゆえ「おまえはオレか」度がハンパない、キモイオッサン・たくろー。
つらすぎる現実に絶望した彼は、友人「ラインハルト」の導きで、クソなリアルに見切りをつけVRゲームで仮想現実の美少女との恋に生きる決意をする。だが、彼が手に入れた美少女ソフト『月子』には、電脳世界をゆるがす秘密が隠されていた……!
VR世界のなかでは若さあふれる高校生男子や超絶イケメン、だけど中身はハゲでデブのキモイオッサンというたくろーとラインハルトが、架空世界の美少女のために命懸けで奮闘する姿はコミカルで、しかし同時に身につまされるものがある。
VRヘッドセット「Oculus Rift」がついに発売。冬にはSONYの「PSVR」も控えているなど、VR元年とも言われる今年。
本作が描くモテないオレたちとVRの未来がもう少しで現実のものとなろうとしている……。
「現実を直視しろ。
オレたちにはもう仮想現実しかないんだ。」
そして、だからこそ、そんなラインハルト様のお言葉も、ますます重みを増してきているのである。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas