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『鉄拳少女うらみちゃん』第1巻 くみちょう 【日刊マンガガイド】

2016/04/30


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『鉄拳少女うらみちゃん』


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『鉄拳少女うらみちゃん』第1巻
くみちょう KADOKAWA ¥580+税
(2016年3月31日発売)


ヒーローってなんだろう?

この作品に出てくる「コスモナイト・コズミッキュ」は、小須美島に次々現れるエイリアンを一掃してくれるスーパーヒロイン。
見た目はとても派手で、あっという間に敵を片づけ、笑顔を振りまいてくれる。みんなに大人気だ。

ところが彼女、かっこよさとはなばなしさを第一にしており、たいへんなわがまま。
島の祭りは地味だからとドタキャン。住民が育てたみかん畑をつぶしても意に介さない。

これを見て業を煮やした14歳の少女・三浦みみは、島の開発者がつくったパワーアーマーを拝借して、エイリアンのみならずコズミッキュをぶん殴る。
島にある一本一本の木を守りたい。小さなお店を守りたい。
なかばやけくそな彼女。新ヒーロー「うらみ」と名乗って、コズミッキュとエイリアンの奪いあいを始める。

コズミッキュがあまりにも横暴なため、どうしてもうらみのほうを応援したくなる。
ただ、簡単に「うらみちゃんこそ正義」と言いきれない。「ミクロ」と「マクロ」の、大きな視点の違いがある。

島民のことだけ考えて動くうらみちゃんは、とてもまっすぐだし、何もまちがってはいない。
だがエイリアンが訪れるのは地球規模の問題だ。
彼女は特別な力があるわけじゃない。どっちが先に殴るか競ってもしかたない。

一方コズミッキュの見ているものは、地球全体を守ることだ。そのためにすぐに出陣し、力を振るっている。
かわいく、楽しく、ド派手に勝つことでみんなが盛りあがるのなら、結果はオーライだ。
だが彼女の言動があまりにも失礼なのもたしか。島の住民の小さな部分は、まったく見えていない。

どちらが「正しい」とは言いきれない。
2人の持っているよいところをうまくあわせればいいはずなのに、まったくうまくできていない。

うらみちゃんの恋をコズミッキュが邪魔するもんだから、話はこじれるばかり。前途多難だ。
『キック・アス』のようなうらみちゃんの黒スーツがこれまたとてもキュート&スタイリッシュなので、ぜひ見てほしい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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