365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月28日はドイツワインの日。本日読むべきマンガは……。
『神の雫』第1巻
亜樹直(作) オキモト・シュウ(画) 講談社 ¥533+税
今日、ゴールデンウィーク直前の、4月28日は「ドイツワインの日」だ。
2011年、まだちょんまげを結っていた頃の日本とプロセイン(現在のドイツ)が国交を結んで150年目を迎えた記念として制定され、ドイツワインの知名度を高めようと周知が始まった日。
4月28日という日を選んだのは、ゴールデンウィークと、German Wineの頭文字が同じGWだからだそう。
ビールのイメージが強いドイツだが、おもなワイン生産国のひとつとしても知られている。
フランスやイタリアがワインの一大産地であることからもわかるように、ブドウは温暖な地を好む果実だ。だから、比較的寒い中欧エリアにあるドイツの南部は、ブドウの育成に適した土地の北限と言われている。
ラインラント=プファルツ州を中心に、13の特定生産地帯で、ドイツワインは育まれている。
そんなドイツのワインは、どんなイメージだろうか。訪ねれば多くの人が、甘口が多い印象と返答する。
しかし、最近では辛口ワインにも力を入れ、辛口用の新たな等級を取り入れたりもしている。従来のイメージを払拭し、より多くの日本人にドイツワインを楽しんでもらいたいと、ドイツ人は考えているそうだ。
さて、そんなワインに興味がある人に読んでもらいたいのが、原作亜樹直、作画オキモト・シュウ『神の雫』だ。
「神の雫」、それは偉大なるワイン評論家・神咲豊多香(かんざき・ゆたか)が選んだ「十二使徒」と呼ばれる究極のワイン12本を超える、幻の1本のこと。
だが、その正体を明かす前に豊多香は突然倒れる。そして彼の遺言には、それらのワインのイメージのみが描かれ、それをすべて当てたものに、彼の莫大な遺産が譲渡されるとされていた……。
この遺産を巡る謎解きを争うのが、父親に反発し、家を出ていた豊多香の息子・神咲雫(かんざき・しずく)と、豊多香の養子となっていた遠峰一青(とおみね・いっせい)の2人。
絶対的な嗅覚を持つ雫は、父への反発から、当初はワインに興味を持っていなかったが、自分が勤めるビール会社の社命により、ワインに関わるようになる。やがて徐々にその魅力を知るようになり、一青よりも先に「神の雫」を見つけ出すことを誓うのだった……。
2004年から10年続いた『神の雫』は、その読みやすさからかワイン入門書としても大ヒット。海外でも多くのファンを獲得し、各国でワインブームの火をつけた作品だ。
グルメ本の最高峰、グルマン世界料理本大賞を受賞し、オキモト・シュウと亜樹直が、フランスのワイン専門誌の最高賞を、日本人で初めて受賞するなど、伝説を築いている。
現在も続編が出ている本作で、ワインにもう一歩近づくのはどうだろうか。
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。