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『僕はコーヒーがのめない』第4巻 福田幸江(作) 吉城モカ(画)ほか 【日刊マンガガイド】

2016/05/22


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『僕はコーヒーがのめない』


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『僕はコーヒーがのめない』第4巻
福田幸江(作) 吉城モカ(画) 川島良彰[コーヒーハンター](監) 小学館 ¥552+税
(2016年4月28日発売)


寝覚めの一杯に、仕事の合間に、休憩時間に、食後に。コーヒーが苦手な人でなければ、こうしたタイミングでコーヒーを飲む人は多いのではないだろうか。
日本の飲みものといえば緑茶のイメージだが、生活をふりかえってみると圧倒的にコーヒーが登場する場面が多い。

一方で、コーヒーは手軽なことが魅力なのであり、苦味や酸味がどうであるとかコクがどうであるとか、そういった味わいを楽しむことは「なんとなく」ですまされている印象だ。
『僕はコーヒーがのめない』はそうした人々に「あらためてコーヒーの話をしてみよう」と語りかけてくれる。

東京ドリンクカンパニー(TDC)に勤める若手営業マンの花山。
おとなしくて、言いたいことがハッキリと言えなくて、オドオドしているタイプ。周囲の社員は彼に対してあからさまにうとましそうな態度だ。
一方で同じくTDCの営業マンであり花山の上司である加賀屋はサードウェイブコーヒープロジェクトを立ち上げ、無類のコーヒーオタクである花山にプロジェクト成功の可能性を見い出し、要にすえるのだった。

最高級のコーヒー豆を扱う会員制クラブ「レッドダイヤモンドクラブ(RDC)」とのコーヒー王位争奪バトルに勝利するため、プロジェクトメンバーは最高の豆を探し出そうとする。
苦労の末、最高のコナコーヒーを見つけた花山たちが次に取りかかったのが、最強のバリスタを見つけること。
はたしてその行方は……。

コーヒーハンター川島良彰が監修する同作は、コーヒーの種類から歴史までありとあらゆる知識が盛りだくさん。
気軽に手に取った人でも、読む前と後では「なんとなく飲んでる」から「意識しながら飲んでる」へと確実に変わるはず。

ブームによってコーヒーはこれまで以上にありふれた存在になっているが、この「意識しながら」がコーヒーの未来を変えていくのだ。

日常にあるものだから、この先もずっと味わえる。それは間違いである。このマンガを読んであらためて感じたことだ。生産者も、種類も、品質も、人々が目を向けなければ存続しない。
『僕はコーヒーがのめない』は生産者、提供者の絶え間ない努力を味わう作品だ。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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