365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月12日はコロンブス・デー。本日読むべきマンガは……。
『ノブナガン』 第1巻
久正人 泰文堂 ¥595+税
1492年10月12日は世界的に有名な探検家・クリストファー・コロンブスが「新大陸」(=北アメリカ大陸)に到達した日であり、アメリカ合衆国の祝日「コロンブス・デー」とされている(編集部注:現在はハッピーマンデー制度で10月の第2月曜日となっています)。
本日は、コロンブスに関連するマンガをひとつ紹介しよう。
宇宙生物「進化侵略体」と戦う組織「DOGOO」に所属する少女の奮闘を描いた久正人のSFアクション作品『ノブナガン』では、歴史上の偉人から採集した遺伝子情報を武器化した「AUウェポン」と呼ばれる武器が存在。
前述のコロンブスもAUウェポンの媒体として登場しているのだが、本作でのコロンブスは偉人伝に描かれるような体裁のよい部分だけではなく、多くの血が流れたアメリカ大陸における侵略戦争の先鞭としての役割にも注目しているのが最大の特徴だろう。
実際にコロンブスの上陸でもたらされた苛烈な征服行為によってアメリカ先住民の人口は3分の1まで激減しており、このことから、現在ではコロンブスのことを人類史に残る悪名高い征服者だと指摘する識者も多く、先住民の権利運動団体「アメリカインディアン運動」などは、コロンブスを偉人とする評価に疑問を呈するべく、毎年コロンブス・デーに合わせて抗議デモを行っているのだ。
一見するとポジティブな「開拓」という行為にも功罪の二面性があり、アメリカ開拓史の象徴として認知されているコロンブスもまた例外ではない。
子どもの頃に習った常識がひっくり返されるのはなんともいえない居心地の悪さを感じてしまうものの、コロンブスだけにかぎらず、後世で評価が覆る偉人は枚挙に暇がない。これを機に様々な歴史マンガの実情を調べてみるのもおもしろいかもしれない。
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。