日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『エリア51』
『エリア51』第12巻
久正人 新潮社 ¥596+税
(2016年5月9日発売)
モンスター、UMA、そして神々といった世界中の異形を集めて隔離した、アメリカ51番目の州「エリア51」。そんな街で暮らすのは「人間でない」のと、表にいられなくなったワケありの「人間」だ。
真鯉徳子(マッコイ)は後者のほうで、河童のキシローを助手に、付喪神のついたコルトM1911を相棒に「エリア51」で私立探偵業を営んでいる。
アニメ化もされた『ノブナガン』や、雑誌「ネメシス」に『ジャバウォッキー1914』を連載中の久正人が、マッコイの活躍ぶり(というか暴れっぷり)を、アメコミタッチのクールな絵柄で描いたのが本作『エリア51』である。
最新刊となる第12巻では「ハイパー鵺」が登場して、日本神話の主神であるアマテラスを襲撃する。「ハイパー鵺」は孫悟空の頭部、狸の胴体、エイリアン・ビッグ・キャットの手足、尻尾はメデューサの蛇、という「エリア51」でしか入手できないパーツを、ゼウスが落とした神の雷のエネルギーを用いて結合させた凶悪なものなので、アマテラスや行動をともにするマッコイの強力な攻撃力でも倒せない。
ハイパー鵺の登場の裏には、エジプト神話の暗躍があるようで、日本神話対エジプト神話の全面戦争か?という危機感をはらみながらストーリーは進んでいくのである。
日本神話とエジプト神話間の戦争は回避されるのか?
また、「ハイパー鵺」の襲撃により意識を失ったマッコイはどうなるのか?
次巻の展開が気になるところである。
<文・廣澤吉泰>
ミステリマンガ研究家。「2016本格ミステリ・ベスト10」(原書房)で国内本格ミステリ座談会とミステリコミックの年間総括記事等を担当。また現在発売中の、「ミステリマガジン」5月号(早川書房)でミステリコミックレビューを担当。