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『知らない魔法』 山田さぶろう 【日刊マンガガイド】

2016/12/03


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『知らない魔法』


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『知らない魔法』
山田さぶろう マイクロマガジン社 ¥780+税
(2016年11月4日発売)


突然ベランダにやってきたメガネの少年、鷺沼志郎。「遊ぼう」といい出す。
さすがにびっくりして拒絶する少女、黒川紅子。「え やだ」。
どうやら彼はひとつ下の階から上がってきたらしい。

別の日、また志郎がやってきた。
今度は紅子は窓を開けて彼を入れる。「やったー あそぼー」
それから、2人はいっしょに遊ぶようになった。お絵かきをし、折り紙をし、紙飛行機を作り……。

ある日、配管を伝って下の階の自分の部屋に戻ろうとした志郎に、紅子はいう。
「紅子もそれやる」
だがその瞬間、志郎は手を滑らせて落下してしまう。

タイトルの「知らない魔法」というのを頭に入れながら読み進めると、何が起きているのかわかるしくみになっている。物語の構成がとても緻密だ。
志郎がずっと紅子に対して執着しすぎており、ぶっちゃけ気持ち悪い。
紅子もときどきドン引きしている。
だがこれも、なぜなのかじんわりわかってくる。うっすら2人の間に漂う優しさもわかってくる。

これ以上説明すると、何もかもネタバレになるので、あとはぜひ読んでみてほしい。
一度読んだら、すぐにもう一回読み直したくなるはずだ。

一方、「てきとう」名義で描いた「てきとう劇場」も収録されている。

こちらは狂気すら感じる、女子高生たちのスラップスティックな短編ギャグ連作。
ネタは優しさのかけらがいっさいない、激辛作品。
「知らない魔法」がさわやかな作品なだけに、読んだあとだと「本当に同じ人なのか!?」と感じるくらいに方向性が違う。
表現手法を極端に使い分けられる著者。次はどっちを出してくるのか……?



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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