日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編]』
『魔法少女まどか☆マギカ[魔獣編]』第1巻
ハノカゲ(著) Magica Quartet(案) 芳文社 ¥657+税
(2015年12月12日発売)
2010年代を代表する大ヒットアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』。
そのTVシリーズと劇場版[新編]のあいだに存在するミッシングリンクを埋める、本格的スピンオフコミックが堂々開幕だ。
物語は、TVシリーズの結末、「概念」となった鹿目まどかによって、世界が再構築される地点からスタートする。
再構築された新たな世界で、「魔女」のかわりに跋扈するのは、「魔獣」。
古い世界で魔法少女たちは、力を使いきると人に害をなす「魔女」へと変貌し、いずれはかつての自分と同類の魔法少女たちによって狩られるという、過酷な運命を背負っていた。
「魔獣」のいる新たな世界では、まどかのもたらした新たな理(ことわり)により、魔法少女たちは、倒されるべき存在になるという、悲しい運命からは救われている。
しかし、システムがもたらす残酷さは回避できても、人と人が織りなす悲劇は、やはり回避することができない。
新たな世界でも、美樹さやかを残酷な展開が待ち受ける。そして、「円環の理」に導かれて彼女が去ったあと、暁美ほむらの物語が始まる――。
TVシリーズ・劇場版のコミカライズなどですばらしいペンの冴えを見せたハノカゲが、重厚な物語を華麗な筆致で描く。
魔獣のデザインなどでは、アニメーション本編のスタッフもアイデアを提供しているということで、シリーズのファンなら、けっして見逃せない。
要注意の作品だ。
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei