日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『文句の付けようがないラブコメ』
『文句の付けようがないラブコメ』 第1巻
鈴木大輔(作) 肋兵器(画) 集英社 ¥600+税
(2016年11月18日発売)
高校2年生・桐島ユウキは、生贄。10年前から決まっていた。
彼が向かったのは、洋館。扉を開いた先にいたのは、少女・神鳴沢セカイ。
あれ? 神様……?
未来がないことをあきらめていたユウキに、彼女はなんでもひとつ願いごとを聞くといった。
彼は即答した。
「神鳴沢セカイさん 俺と結婚してください」
恋愛を知らない神様の照れる様子がかわいすぎる、ラブコメディ。異論は認めない。
ラノベ原作があるが、脚本を今作のために書き直しているので、内容はかなり違う。
今後は設定も一部違ってくるそうだ
「なんでも願いごとをかなえる」といってしまったからには、神様とて結婚を断ることはできない。
とはいえ、神様というわりに今のところ何もしないし、奇跡も起こらない。
それどころか人づきあいが得意ではなく、恋愛経験ゼロ。ごく普通の女の子にしか見えない。
ユウキがプロポーズするシーンは、さすがに唐突。
目の前に美しい女子がいて、自分が未来を失って諦念しているとなれば……にしても急すぎる。
このあたりは、超ブラコンな妹を含め、彼と家族が過去に何があったのか、なぜ生贄になったかなどの経緯が絡んでくる。
セカイといっしょにいる時間は増えてくる。
夫婦の第一歩として手を繋いだ時、セカイは顔を真っ赤にする。
彼女はずっとひとりだったから、最初から「貴殿と仲良くなりたかった」と語る。
ふと見せる笑顔が、めちゃくちゃかわいい。
確信を持つようになる。
「俺の唐突プロポーズ やっぱ正解! …かな?」
ときどき「あれって?」「いやそこは?」と気になり始めるかもしれないが(生贄まわりの仕組みとか)、そんなことはどうでもいいじゃないか。
セカイは何がどうあっても、かわいいのだ。
文句の付けようがない。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」