『鬼死ね』第2巻
岡田索雲 小学館 \552+税
(2014年7月30日発売)
この世には、人間の姿形をして、人間社会に溶け込んで暮らす鬼がいる……。
中学生の阿羅太と伊純は、そんな鬼の双子。阿羅太は生まれつき人間に嫌われるオーラをまとった赤鬼、伊純は嫌われオーラこそ持たないが、鬼社会で差別される青鬼だ。
赤鬼の多くは、人間に対する偏見を盾に、ある者は社会のはみ出し者として、ある者はひっそりと、それぞれに生きている。阿羅太もまた、赤鬼特有の驚異的な身体能力を隠し、いじめられっ子を演じながら日々を過ごしていた。
しかし、阿羅太にはどうしても叶えたいひとつの願いがある。人間の友達がほしい。人気者になりたい。
そんな阿羅太の努力はことごとく水の泡に終わり、おとぎ話『泣いた赤鬼』のような、なんともいえない切なさが胸を締めつける。
今巻では、阿羅太は彼を無視することなくいじめ続ける同級生・木戸と友達になろうと決意。
性格も行いも決してよくない木戸だが、粘り強くついてまわるうち、阿羅太と木戸の前に衝撃的な事実が…!!
一方、「人間>赤鬼>青鬼」という多数派による少数派への差別感情は、阿羅太と伊純の絆にも影響を見せ始める。
同族、兄弟の差別を感じながらも、やや冷ややかに、人間となじんでいく伊純の複雑な心境にもハラハラさせられる。
シリアスな設定にギャグ要素をちりばめ、読者を笑わせながらもいじめという問題を巧みに皮肉った、静かに熱い異色の人間(鬼)ドラマが、ここからいっそう加速する。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。