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『夜の眼は千でございます』 上野顕太郎 【日刊マンガガイド】

2016/12/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『夜の眼は千でございます』


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『夜の眼は千でございます』
上野顕太郎 KADOKAWA ¥1,480+税
(2016年11月25日発売)


ギャグマイスターによる最新作は、待ってましたの“夜は千の眼を持つ”シリーズ5冊目。
“馬鹿馬鹿しいお笑い”を 42席お見舞いする特厚ボリュームなので、年末年始に備えて買っておくべし!

落語ネタの作品(読者が想像しうる「落語ネタ」を超える表現!)をはじめ、自在に脱線しながら話が転がっていくナンセンスコメディ、そのほか、そもそもマンガの形式自体がギャグ(!?)な革新的な作品ばかり。
とはいえ“実験作”といった小難しい冠は似合わない、エンタメへの飽くなきこだわりには頭が下がる思いである。

かるた、法廷画家、交通標識、テレビショッピング、シューベルトの『魔王』……等々、取り上げるネタも多彩なら、絵柄も多彩。
内容に合わせた絵柄も七変化なんてものじゃなく、その元ネタがわかれば倍笑える! わからなくても作者が伝えたいニュアンスがバッチリ伝わるはずで……すみずみまでいきわたるサービス精神、これこそが巧のワザである。

追悼企画パロディも水木しげる、望月三起也と続く。
マンガレビューの仕事をしていると、よく人に「今、何かおもしろいマンガないですか?」と聞かれて困ることがある。おもしろいマンガは無数に思いつくけど、相手のマンガの好みによってはまったく合わないことがあるからだ。

そうだ、これからは『夜の眼は千でございます』を買え、といおう! 笑うのが好きな人ならだれだって楽しめる。
そして、これだけ多様な笑いが詰まった作品集なら、どんな欲張りさんでも満足できるはず!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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