特定ジャンルに詳しい「目きき」の人たちに、テーマ・著者・出版社……といったカテゴリ別に、必読のマンガ作品を教えてもらうコーナー、その名もズバリ「目ききに聞く」!
ちょっとした息抜きに最適なマンガのジャンルといえば、やはりギャグ。なかでも、いわゆる「シュールギャグ」作品などは、気を張らずに楽しめます。
今回は、マンガを中心に多分野で活躍し、90年代に活躍した岡田あーみん先生にちなんだ別名義での活動も行っている、フリーライターの川俣綾加さんに、オススメの3作品を挙げていただきました。
川俣綾加さんイチオシの3作品
性格柄なのか、重厚な物語や情報量が多い作品だと読む際に力が入ってしまい、読んで楽しむというより分析したりと「がんばって」読んでしまいます……。
そんななか、今一番純粋に楽しんで読めるのが、このジャンル。猫関連の活動をする時の「岡田モフリシャス」という私の別名義も、岡田あーみん先生にちなんでつけたものなので、もともと「シュールギャグ」というジャンルが好きだというのもあります。
『幽霊な彼女と心霊な僕』南国ばなな
『幽霊な彼女と心霊な僕』第1巻
南国ばなな 講談社 ¥581+税
(2014年1月7日発売)
小学生の頃に心霊特集のTV番組を見て以来、心霊現象を体験すべく奔走するものの、霊感のなさゆえに12年が経った、主人公の青年・元二。
いわくつきの事故物件に住み始めた元二と、その部屋にいる幽霊(女)とのお話です。
“幽霊な彼女”とありますが、元二が一方的にストーカー同然のアプローチを始めます。
ラブコメだけれども生き死にジョークは非常にシュール。憑依されんとする瞬間に「もっと奥までえええ」と叫ぶ元二を見ると、「やっぱり生きてる人間が一番アブナイ」と、あらためて教えてくれますね!
女の子の幽霊のビジュアルが容赦なくエグいのもポイントが高いです。
『りとる・けいおす』涼川りん
『りとる・けいおす』第1巻
涼川りん 双葉社 ¥600+税
(2014年10月28日発売)
アホでカオスな小学生あきちゃん、冷静だけど危険な発言の多いうきっぺ、常識人のゆずさん……小学生の日常を描いたギャグマンガ。
書店で涼川りん先生の描くゆるっとかわいいキャラクターにひかれ購入を決めたこのマンガ。
ページを開けば、やたらとリアルテイストの大人が登場したり、突然造形が妙に生々しくなったりと、ギャグに加えて絵にもそこはかとない笑いが漂っています。
『るみちゃんの事象』原克玄
『るみちゃんの事象』第1巻
原 克玄 小学館 ¥524+税
(2011年12月27日発売)
天真爛漫な女子高生・郁野るみの高校ライフを描いた摩訶不思議なギャグ作品。
るみちゃんの謎めいた行動、狂気じみた独走っぷり。ずーっと、ずーっとこの不思議なギャグが続いていきます。
正直にいえば最初に読んだ時は、引きこまれながらも、どんな姿勢でこの作品を読めばいいのか戸惑いもありました。その戸惑いは今思えば「驚き」だったのだと思います。
でも、読んでいるうちにこれが安心感に変わります! 永遠にるみちゃんを眺めていたい。むしろこれが終わってしまったら不安!
ページを開けばいつでもいつものるみちゃんに会えるこの安心感。そんな摩訶不思議な感覚を教えてくれた作品です。