日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『東京タラレバ娘』
『東京タラレバ娘』 第7巻
東村アキコ 講談社 ¥429+税
(2017年1月13日発売)
吉高由里子主演で実写ドラマ化され、ますます盛り上がっている『東京タラレバ娘』。
「もしも~だったら」「こうしていれば」と、過去を悔み前進することができないアラサー女子3人組の姿を通し、世の女性陣に対しもの申す内容が大きな話題を集めている作品だ。
そんな本作の最新第7巻では、主人公・倫子の恋が予想外に動き出すことになる。
6巻では、過去にふった男・早坂への想いが燃え上がり、冷凍庫の奥底にしまいこんでいた冷凍食品をチンして食べるような恋をしようと決意した倫子。
33歳にもなればそういう恋の仕方だってあるのだと、自らを肯定する姿には、諦めや妥協もにじんでいたが、それでも幸せになろうと奮起する気概が見えた。
そして7巻では、冒頭から2人のデートを邪魔するKEY(キー)が描かれる。
「それでいいの?」と倫子に投げかけるKEY。
何度も何度も頭のなかでリフレインするその声をかき消すように、倫子は早坂と一夜をともにする。
そこから物語は、これまでずっと謎に秘められていたKEYの過去へと迫る。
そこで明らかになるのは、あまりにも悲しい過去。
彼がこれまで3人組に暴言を吐いていた理由も、そこから読みとることができる。
KEYはだれよりもツラい想いをしてきたからこそ、毎日愚痴ばかりいいあっている倫子たちに心底腹が立っていたのだ。
そしてなによりKEYは……。
ここから先はぜひ本作を読んで確かめてみてほしい。
まさに物語が大きく動き出す展開に、胸がしめつけられるだろう。
特にラスト。「ここで“第4出動”が発令されるのか……!」と、胸が熱くなる。
はたして倫子は幸せをつかむための正しい選択ができるのか。
こんなにも次巻の発売が待ちどおしくなったのも久しぶりかもしれない。
<文・五十嵐 大>
83年生まれの、引きこもり系フリーライター。デスゲーム系やバトルもの、胸キュン必至の恋愛マンガやBLまで嗜む、マンガ好きです。マイブームは、マンガ飯の再現。