日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『2DK、Gペン、目覚まし時計。』
『2DK、Gペン、目覚まし時計。』 第4巻
大沢やよい 一迅社 ¥680+税
(2017年2月17日発売)
バリバリ仕事をこなし、周囲からの評価も高い、キャリアウーマン・香月奈々美。
人の世話をするのが性にあっている、博多弁女性。
だらしなくて時間にルーズで、きわめてマイペースなかけだし漫画家・藤村かえで。
子犬のように甘えん坊で、だれとでも仲よくなれる明るい女性。
2人は、ルームシェアする20代後半。
世話をする・されるがしっくりはまる2人、いつもケンカっぽくしてはいるものの、とても仲良し。
第1巻では奈々美とかえでの生活の様子。
第2巻では奈々美の会社のできる派遣社員・谷原侑子との仕事共同戦線。
第3巻ではかえでに食ってかかってくる壁サーの姫こと城山恋由姫のライバルにして友人の様子を、2人の家を軸に描いてきた。
第4巻は、奈々美の会社の取引先で働く、京都弁の辻堂葵とのやりとりが中心。
ものすごい押しが強く、やり手の奈々美をまたたく間に飲みこんでいく恋愛マスター。
奈々美の懐に入りこんで、急激に距離をつめてくる。
今まで多くのキャラが出てきたものの、恋愛に関しては比較的奥手。
一見押しているようで、受け気味のキャラばかりだった。
だが、葵の肉食っぷりはハンパではない。第3巻までが「仲よくいっしょにやっていける仲間ができた」というほんわか空気で安心していたところを、一気に「性」で塗り潰してしまった。
葵の登場で、奈々美がぼんやり感じていたかえでへの感情が、明確なかたちを持ってくる。
1巻ごとに「波乱」がやってくるこのシリーズ。
とはいえ最終的には必ず奈々美とかえでの部屋の安心感に戻ってきた。
人間関係における情熱はとてもいい。仕事での成長もステキだ。
けれどそう思えるのは、奈々美とかえで2人が共有している、戻ってこられる平穏な場所があるからだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」