365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月22日は出歯亀事件が起きた日。本日読むべきマンガは……。
『小学館文庫 のぞき屋』 第1巻
山本英夫 小学館 ¥600+税
1908(明治41)年3月22日、現代でいう東京都新宿区で殺人事件が発生。
容疑者として逮捕されたのは、以前から近辺でたびたびのぞきをおこなっていた男性だった。
男性は名前のなかにある「亀」の文字と、出っ歯という身体的特徴から「出歯亀」のあだ名で世間に知られることになり、この事件はのちに「出歯亀事件」と呼ばれることとなった。
そこから転じて、出歯亀という言葉はのぞき行為、のぞきをする者、という意味を持つことになる。
というわけで、本日はそのものズバリ、のぞきをテーマにした珍しいマンガを紹介しよう。
『殺し屋1(イチ)』、『ホムンクルス』などで知られ、現在『HIKARI-MAN』を連載中の山本英夫『のぞき屋』、『新・のぞき屋』がそれだ。
依頼によってターゲットの私生活を徹底的にのぞく「のぞき屋」見(ケン)たちの視点を通して、人間の欲望や現代社会に隠された暗部をのぞき見ていく……というあらすじの本作。
悪びれることなくのぞき見が趣味だといい放つダーティな主人公に眉をひそめてしまうかもしれないが、それでも見のスタンスにある種の共感を覚えてしまうのは、程度の差こそあれ、我々読者も他人(=キャラクター)の人生をのぞき見る快感におぼれている人種だから……なのだろうか?
<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。