365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月28日はシルクロードの日。本日読むべきマンガは……。
『乙嫁語り』第1巻
森薫 KADOKAWA ¥620+税
今日3月28日はシルクロードの日。
1900年の今日、スウェーデンの探検家ヘディンが、シルクロードの都・楼蘭を発見した記念すべき日なのだ。
楼蘭は中央アジア、タクラマカン砂漠に位置する古い都。
シルクロードには主要なルートが何本かあるが、楼蘭を通るのは西域南道と呼ばれるもっとも古い道だ。
三蔵法師がインドからの帰途に使ったり、マルコ・ポーロも用いたりと、過酷な環境だが最短の道のため、よく使われていたという。
さて今日ご紹介するのは、シルクロードのある中央アジアでの物語だ。
12歳の少年、カルルクのもとに嫁いできた花嫁のアミルは20歳。
美しく能力も高い姉さん女房をカルルクはまぶしく思い、一方のアミルも細やかな愛情をカルルクに注いでいる。
だが時代は19世紀、嫁は年若く子どもをたくさん産むことがよいとされていた頃である。
当時の20歳はとうが立っていたようで、アミルに対しての批判的な意見も聞こえてくる。
さらにアミルの実家側でのトラブルもあり、カルルクとアミルは、いやおうなしに対立に巻きこまれていく――。
じわじわと人を引きこんでいくストーリーもさすがだが、特にこの作品は丁寧な描写と描きこみ、そして絵柄のあたたかみがすばらしい。
その頃の中央アジアの風俗が見事に再現され、どのページも見ごたえ満点だ。
なにより布の模様! 厚地の布に柔らかく刻まれた美しいパターンは異国文化の香りも高く、シルクロードへの郷愁を誘う。
『エマ』で人気を博した著者だが、メイドとイギリスにハマるのと同じくらいに中央アジア・コーカサス地域にハマったとのこと。
当時の生活を描くのが本当に楽しいのだろう。画面からそれがにじみ出ていて、著者のパッションを受け取れるからか、読むとハートの温度が上がる1冊だ。
ひとたびページをめくれば、そこには中央アジアの自然と空気が息づいている。
シルクロードに思いをはせつつ、美しきアミルの活躍をめでていっていただきたい。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」