365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月31日はピンクレディーが解散コンサートをした日。本日読むべきマンガは……。
『とめはねっ! 鈴里高校書道部』 第2巻
河合克敏 小学館 ¥505+税
きょう3月31日はピンクレディーが解散コンサートをした日だ。
1976年に「ペッパー警部」でデビューしたピンクレディーは、ケイとミーの2人組のアイドルユニットである。
手足を露出した衣装で大胆に股を開くなどのコミカルな振りつけは、セクシーであっても明るく健康的で、日本中の子供たちがまねをして人気が爆発。ピンクレディーは国民的なアイドルになった。
「S・O・S」、「カルメン’77」、「渚のシンドバッド」、「ウォンテッド(指名手配)」、「UFO」と、リリースするシングルすべてがヒットし、1978年には日本レコード大賞を受賞。
しかしブームが過ぎ去ると、1981年3月31日に後楽園球場で解散コンサートを行うことになった(現在は活動再開中)。
『とめはねっ! 鈴里高校書道部』(河合克敏)では、ピンクレディーのヒット曲が作中で印象的に使用されている。
主人公の大江縁(おおえ・ゆかり)の所属する鈴里高校書道部は、鵠沼学園書道部に対抗して、駅前で書道パフォーマンスをすることになる。
書道パフォーマンスとは、楽曲を流し、その歌の歌詞の一部を揮毫する実演のことで、この時鈴里高校書道部が「あゝ人生に涙あり」(テレビドラマ『水戸黄門』の主題歌)とともに選んだ曲が、ピンクレディーの「サウスポー」だ。
「サウスポー」の曲を流しながらピンクレディーのコスプレをして振りつけをすると、主婦層が足を止め、いっしょに振りつけをして踊りながら書道パフォーマンスに注目するシーンが描かれる。子ども時代にピンクレディー・ブームを体験した人々は今でも当時の振りつけで踊れるのだ。
実際、「今でも踊れる」と豪語する50代の方はとても多く、ピンクレディー・ブームのすごさを感じさせる事象といえる。
ちなみに「サウスポー」は1978年3月にリリースされ、ミリオンセラーとなった。
その前年には王貞治選手(当時・読売ジャイアンツ)が通算本塁打世界一の756号を打ち、国民栄誉賞を受賞しているため、歌詞にある「背番号1のすごい奴」や「フラミンゴみたいにひょいと一本足」は、王貞治選手を想定しているものと思われる。
水島新司『野球狂の詩』の水原勇気や、昭和50年代の女子野球ブームもあいまって、「サウスポー」のなかで歌われる「女性投手が王貞治選手に挑む」というファンタジーが、よりビビッドに当時のファンにキャッチされたのである。
きょう3月31日は、『とめはねっ! 鈴里高校書道部』を読みながら、ピンクレディー・ブームに思いをはせてほしい。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama