『とめはねっ! 鈴里高校書道部』第1巻
河合克敏 小学館 \505+税
本日6月24日は、フランスの探検家ジャック・カルティエによってカナダのプリンス・エドワード島が“発見"された日である。
1543年6月24日(グレゴリオ暦7月4日)、セントローレンス湾付近を探索していたカルティエは、ヨーロッパ人としては初めてプリンス・エドワード島に到達した。
このプリンス・エドワード島は、一般的には『赤毛のアン』の舞台として広く知られている。作者のL・M・モンゴメリが住んでいた島であり、同作品にはモンゴメリの少女時代が投影されている。2014年、NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』のオープニング・タイトルで使用されたのがプリンス・エドワード島の風景であり、その美しさに見とれた視聴者も多かったと思う。
そしてこの島にゆかりの深いマンガといえば、河合克俊『とめはねっ! 鈴里高校書道部』だ。主人公・大江縁は、小学2年生から中学3年生までプリンス・エドワード島で暮らした帰国子女である。日本に帰ってきて鈴里高校に入学すると、書道部に入部する(させられた?)ことになるのだが、帰国子女で書道経験の乏しい彼が素朴な疑問を周囲にぶつけていくことで、主人公でありながら狂言まわし的な役割も担っていく。
競技未経験の主人公が徐々に成長していくような、まさにスポーツマンガのような構造となっている。
さて、縁はライバル高校の女子生徒・宮田麻衣の家(蕎麦屋)でアルバイトをする。
そこで得意の英語を活かし、外国人客への接客をしたことをキッカケに、宮田から熱烈なアプローチを受け続けることに。なんというリア充展開!
やはり河合克敏の部活系マンガは、オシャレとか恋愛も入ってきて、青春ものの定石をガッツリとおさえているのだが、たとえばアルバイトとか部活にかかる費用とか、合宿などの遠征費とか、学生らしい金銭感覚で世界が満たされているので、身近に柔道の全日本クラスのヒロインというスーパーな存在がいても、等身大の高校生が描かれているように感じられる。
『とめはねっ! 鈴里高校書道部』の最終14巻は、2015年6月3日に発売された。
書道を通じて成長した縁の姿をきっちりと見届けたい。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama