『小学館文庫 モンキーターン』第1巻
河合克敏 小学館 \724+税
5月4日は日本船舶振興会の会長を務めた故・笹川良一の誕生日。
笹川といえばアラフォー以上の世代は「戸締り用心、火の用心♪」のCMで「一日一善!」と叫んでいるオジサンとしておなじみだろう。あのCMのおかげでボートレースを認知した子どもたちも多かった(それくらい毎日、くり返し流れていたのよ)。
ボートレース下関では、競艇創設者である笹川の誕生日を記念して5月4日を「競艇の日」に制定。
当日は「競艇の日大賞」というレースも行われる。ちなみに現在は競艇という名称を公式には使用しておらず、ボートレースで統一。
笹川の名を冠したSG競走「笹川賞」も「ボートレースオールスター」という通称がついている。
そのボートレースをモチーフにした人気マンガといえば河合克敏の『モンキーターン』。
高校球児としては身長165cmと小柄だった波多野憲二が、担任教師にすすめられる形でボートレーサーを目指し、厳しい研修所生活を経てプロとなるストーリーだ。
モンキーターンとは、前傾姿勢で立ちあがりながら旋回する高等テクニック。波多野はこのモンキーターンを駆使して躍進していく。
作者の河合がもとからボートレースファンだったわけではない点がキモで、主人公の波多野と一緒にゼロから艇界のシステムを学び、それをわかりやすく読者に伝えてくれたことがヒットにつながった。
日本船舶振興会も本書をボートレースの入門書として推薦。
『モンキーターン』に影響を受けてボートレーサーになった若手選手も実在する。
2005年の連載終了からすでに10年が経つが、ここ数年、パチスロ化、パチンコ化されたことで人気が再燃。
その流れで新規のボートファンがジワジワと増殖するという現象までおきている。
「そうは言っても、ボートレースってギャンブルでしょ?」と敬遠している諸兄にこそ『モンキーターン』を手にとっていただきたい。
激熱の水上バトルに魅了されることうけあいだ。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。出身地の立川を舞台にした映画『ズタボロ』(橋本一監督/5月9日公開)の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」