このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

4月15日は「ヘレン・ケラー初来日の日」『ヘレンesp』を読もう!【きょうのマンガ】

2017/04/15


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月15日はヘレン・ケラー初来日の日。本日読むべきマンガは……。


helen_s01

『ヘレンesp』第1巻
木々津克久 秋田書店 ¥419円+税


1937(昭和12)年の4月15日は、ヘレン・ケラーが初めて日本を訪れた日だ。

病気がもとで視覚と聴覚を失い、声を出すこともできなかった三重苦の少女の物語を知らない人はおそらくいないのでは!? サリバン女史によって人間らしい振るまいを身につけ、指で文字を書くこと、言葉を覚え……努力することを知ったヘレンは苦労して発声法を学び、ついにはしゃべることもできるようになる。

盲人の社会事業家・岩橋武夫の依頼に応えて来日したヘレンは、この時日本に4カ月近く滞在。全国の盲学校・聾(ろう)学校などを訪れて己の体験を物語ることは障がいを持つ人ばかりだけではなく多くの人々を勇気づけ、また障害者支援や教育のあり方についても大きな影響を及ぼしていく。

『ヘレンesp』のヒロイン、ヘレン・高原・ラ=グィードは事故の後遺症で三重苦となった少女だ。この5 年前の事故で両親を失ったヘレンは現在高校1年生。ヘレンが少しでも快適に過ごせるよう一生懸命な優しい叔父のもとで暮らしている。また、ヘレンの助けとなるのは、小さい頃からきょうだいのように育った愛犬ヴィクターだ。今ではヘレンの盲導犬役を務め……そして、じつはヘレンはヴィクターとはテレパシーで意思の疎通ができるのである。

感覚を失ったかわりに、彼女には不思議な力が備わっていた。この力のおかげで、ヘレンは不思議な出来事に関わることとなる。夢とも現実ともわからない世界に短い旅をしたり、花の妖精と出会ったり。甘くファンタジックな世界だけでなく、人の苦しみに触れ涙を流すこともある。

ヘレンがこの世にある様々な“生”とコミュニケーションするエピソードの1つひとつは、ときに生きる厳しさを感じさせるが、読後感は常に温かい。

重い障害を持ちながらいつも明るく世界に向きあうヘレンの表情が印象的な作品。同じ名を持つ、かのヘレン・ケラーのように穏やかに世の中を照らすヒロインである。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

  • 『ヘレンesp』第1巻 Amazonで購入
  • 『兄妹 少女探偵と幽霊警官の… Amazonで購入
  • 『名探偵マーニー』第1巻 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング