365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月17日はハローワークの日。本日読むべきマンガは……。
『中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク』
グレゴリウス山田 一迅社 ¥2,700+税
4月17日は「ハローワークの日(職安記念日)」である。1947年のこの日、職業安定法にもとづいて「公共職業安定所」が発足した。
職安では職業安定法の目的を成し遂げるための事業(職業紹介、職業指導、失業保険など)を担ってきた。しばらくは「職安」の通称で親しまれてきたが、イメージの刷新を図るために一般から愛称を募集し、1990年からは現在の「ハローワーク」の名で呼称されることになったのである。
「ハローワーク」の名を冠する一風変わった作品として『中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク』(グレゴリウス山田)を紹介したい。
本作はマンガ作品ではない。剣士や吟遊詩人、コーヒー嗅ぎ、水屋など、おもに中世ヨーロッパに実在した100以上の職業を紹介する書籍である。本作の最大の特徴は、中世ヨーロッパ風RPGのジョブのように各職業を紹介している点だ。
風景や職業がクオータービューのイラストで描かれており、シミュレーションRPG好きならばニヤリとすることは必至。ページ数、情報量ともボリューム豊かであり、さながらゲームの攻略本や設定資料集を読むような感覚で13世紀頃に実在した職業について知ることができる。
もともと本作は同人誌で頒布されていたが、著者の商業デビュー作『竜と勇者と配達人』のリリースにあわせて商業版として同時発売された。『竜と勇者と配達人』は中世ヨーロッパ風RPGの世界観を舞台に、書簡や手紙を配達する配達人(=主人公)の視点を通じて、様々な仕事の現場が描かれていく。
この『中世実在職業解説本 十三世紀のハローワーク』を併読すれば、相乗効果で両作品をより深く楽しむことができるだろう。まさしく、職業を知ることは世の成り立ちを知ることにつながるのだ。
昨今は時代の過渡期で、今自分が従事している仕事がこの先も存在するのかさえ不確かである。「自分の会社は大丈夫だろうか」とか「自分のいる業界は斜陽産業ではないだろうか」などと、不安に思うのも無理からぬこと。
しかし、われわれ人間は生きるために、生活するために、様々な仕事を開発してきた。そうした人の営みや人間のしたたかさを知れば、まぁなんとかなるだろうと、きっと前向きな気持ちになれるはずだ。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama