『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』第5巻
岡本健太郎 講談社 \562+税
（2014年8月22日発売）

猟師であり、漫画家でもある著者が、東京から岡山の山奥に移り住み、さまざまな体験をするリアル猟師奮戦記の最新刊。

2009年に単発空気銃の「エース・ハンター」を手に入れ、ワナを手作り。初猟でハトを射止めた著者も、この巻では猟師生活2期目に突入。「今季はどんな獲物がかかるのかしら」とワクワクしていたら、いきなり著者の身にとんでもないことが起きる（くわしくは、ぜひ本書で！）。
しかし、著者はあたふたと慌てたりせず、山の中にあるものと知恵を駆使し、淡々と現状と折り合いをつけようとする。その実践的な描写が妙に心に残った。その後につづく口数少ない地元猟師との世代を超えた交流――今回はそんなところにホロリとさせられたりもして。

巻数が増すごとに女子力（!?）があがってゆく著者の料理シーンも要注目。今回はタンポポのツナマヨネーズやザリガニのパエリア、はてはでっかいネズミ・ヌートリア（！）の網焼きまで登場。意外なものがおいしかったり、よく知られているものがイマイチだったり。味の優劣はさておき、どのシーンも“獲って食べる喜び”が滲んでいて、なんだか清々しい。
一方、都会に暮らす自分がスーパーで気軽に買える肉類はすべて包装済み。あらゆることが間接的でしかない暮らしのなかにいると、命のサイクルが組みこまれている日常が妙にまぶしく思えてくる。

＜文・山脇麻生＞
ライター＆編集者。「朝日新聞」「SPA!」などにコミック評を寄稿。
Twitter：@yamamao