『孤食ロボット』第2巻
岩岡ヒサエ 集英社 \600+税
(2015年3月25日発売)
本作は、第15回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した『土星マンション』の岩岡ヒサエによる連作短編。
ひとりきりでご飯を食べる孤独な人々のもとに、食のアドバイスをする小さなアンドロイドがやってくる。
バーテンダー志望なのにホストをしている青年とイタリアかぶれのアンドロイド。
ポテトサラダ好きの同僚に失恋したOLとお節介気味のアンドロイド。
太り気味のカフェ店員と口の悪いアンドロイド……。
最新2巻でも、悩める各話の主人公と少し頼りないが一生懸命なアンドロイドが、料理を通して交流し、一歩前に進む様子が描かれる。
どの話も読後感は、温かく爽やか。テーブルにちょこんと乗る妖精のようなアンドロイドがいる食事風景にも癒される。
作られる料理は「味噌汁」「パスタ」「ハンバーグ」など、シンプルながら意外とコツがいるもの。
主人公たちと同じような料理初心者にはとても役立つ。
食事は人生を支える基盤。絶品グルメでもなければ、贅沢食材でもない、ごくありふれたごはんというのが本作の魅力なのだ。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー評を連載中。
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