『青の母』第1巻
茂木清香 双葉社 \620+税
(2014年8月20日発売)
母が、絲子(いとこ)を道連れに無理心中を図ったのは彼女が7歳の誕生日のこと。どうにか命は助かったものの天涯孤独の身となった絲子の数奇な運命は、すでにこの時決まっていたのかもしれない。
心を閉ざしきっていた彼女に笑顔を取り戻させてくれたのは、幼なじみの冬弥(とうや)だ。19歳で冬弥にプロポーズされ、幸せな結婚生活が始まることを信じて疑わなかった絲子。しかし、冬弥の郷里である水籠村(みごもりむら)は、よそ者の目には奇異としか思えないあやしげな因習のある土地であった。
結婚式の前日に、絲子は自分と寸分違わぬ姿形の人形を見つけて驚く。冬弥によれば、この村の男は花嫁となる女性の人形を奉納するしきたりなのだという。
そして迎えた晴れの日、結婚式の場で想像を絶するできごとが……! 村人が口にする「青の母」とは何か、人形に秘められた意味とは。
次々に起こる怪異に翻弄されながらも、ヒロインは必死に生き延びようとするが……村を覆う闇はいまだ深く、昏い。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」