日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『好角家 愛敬紗英 今日の一番』
『好角家 愛敬紗英 今日の一番』 第1巻
林ふみの 泰文堂 ¥600+税
(2017年3月11日発売)
好角家(こうかくか)とは、相撲好き、相撲ファンのこと。
この作品の主人公である愛敬紗英(あいきょう・さえ)は、超のつくほどの好角家。
最近のいい方ではいわゆる「スー女」というところか。
しかし彼女は、スー女という呼び方をするには少々硬派かもしれない。
技の知識も豊富で、ルールにも熟達した筋金入りの玄人なのだ。
やはり「好角家」の呼び名がふさわしい相撲通であり、一本筋の通った女性なのである。
そんなアラサーOL・愛敬さんの日常は、稽古見学、地方巡業エトセトラ。
相撲とあればどこへでも行き、あらゆる相撲関連番組を網羅して視聴。
ここ一番の取り組みのためなら、電気屋の店頭でもテレビにかぶりつく。
最近の一押し力士は、若手の幕下・前野川。
前野川の成長と躍進を夢見つつ、今日も彼女の熱烈大相撲ライフは続くのであった――。
この作品の最大の魅力はなんといっても相撲愛。愛、である。
すべてのページから相撲愛があふれ出している、情熱の1冊なのだ。
「好き」という最強パワーで、相撲に興味のなかった読者でさえ引き込むだけのポテンシャルを備えたエネルギッシュな作品だ。
そしてもちろん同じ相撲ファンにとっては格好の「あるある」マンガ。
あらゆるエピソードに対して共感の嵐であろうし、愛敬さんとリア友のような気持ちになれること請けあいである。
基本は柔らかく親しみやすい絵柄で描かれたコメディではあるが、昨今の相撲を取り巻く課題も題材として取りあげたりと、そこここで歯ごたえのあるストーリーも味わえる。
その魅力を、ぜひ一読して確かめていただければと思う。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」