日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『激マン!キューティーハニー編』
『激マン!キューティーハニー編』 第1巻
永井豪 日本文芸社 ¥600+税
(2017年3月18日発売)
永井豪が波瀾万丈の「まんが道」を虚実織り交ぜて描く『激マン!』シリーズ。
「デビルマンの章」「マジンガーZ編」に続く第3弾は、このごろ流行りの女の子、愛の戦士「キューティーハニー編」だ。
主人公も美少女なら敵キャラもすべて女性、文字どおり女だらけの作品だからして、今回の著者(豪ちゃん先生の仮の姿)はスタイル抜群、フェロモン全開の美女・永居香激(ながい・かげき)が務めている。
この香激センセー、自らがモデルとなってヒロイン像をつくりあげるため、全裸でポーズをとりまくり、自分でおっぱいもみもみ、何かというとおっぴろげ(注:常にノーパン)、あげくのはてには原稿に向かって放尿まで。クッ、クレイジー!
あまりにもムチャクチャすぎて唖然としてしまうが、もちろん創作秘話もきちんと進行。
お色気路線の企画を東映動画から打診された香激は、“美少女の七変化もの”という提案に、“服がビリビリに破けてから別のコスチュームになる”というアイデアをひらめく。
これを主軸に“元素レベルで服が分解されて再合成”→“空中元素固定装置”と連想されていき、この機密を狙う悪の組織・パンサークローとハニー(空中元素固定装置が内臓されたアンドロイド)が戦うという設定ができあがっていく。
そう、『キューティーハニー』はあの変身シーンありきの作品だったのだ。このセクシーな変身シーンがどれだけ読者・視聴者の心をわしづかみにしたのかは、いうまでもないだろう。
ちなみにダイナミックプロの面々も女体化しているのだが、美女として描かれているのは香激だけで、スタッフは全員ブス。
特にひどいのが助っ人参加の石川賢ならぬ石川ケン子。なにしろ常に鼻タレ&片乳ポロリの状態で、すね毛なんてボーボーなんですよ……。
てなわけでカゲキというよりもカオスに突き進みつつ、伝説のスーパーヒロインが爆誕する。
なおコミックスを手に入れた方は、ぜひ表紙の折り返しに注目してほしい。そこにはリアル香激先生の姿が!?
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。