日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『犬鷲百桃はゆるがない』
『犬鷲百桃はゆるがない』 第1巻
小嶋ララ子 講談社 ¥581+税
(2017年4月7日発売)
犬鷲百桃(いぬわし・もも)と2人の兄、千秋(ちあき)と千尋(ちひろ)。
一見、病弱で可憐ではかない妹と、清く正しく美しい双子の兄……という理想の兄妹、と見せかけて、お互いがお互いを溺愛し、監視するような超変態ブラコン&シスコンのコンビだった。
ところが、お互いに理想の妹と、理想の兄を演じ合う3人の世界のなかに、突然、謎のお邪魔虫の男が現れて、百桃に「オレのモンになってよ」といい出す。
とにかく“超攻撃型ヘンタイブラコン”なヒロインの百桃の個性で突っ走るハイテンションラブコメであり、兄たちを監視し、寄ってくる害虫どもに実力行使も辞さないというメチャクチャぶり&清楚な外見とのギャップが大変いい。
そんなハチャメチャな妹に負けず劣らず、兄のほうも兄のほうで、妹のためならなんでもあり、という感じでかなり“大概”。
“登場人物、全員、ヘンタイ”状態である。
いったいお邪魔虫の環(たまき)のほうは、いったいなんだってこんなヒロインのどこが気に入ったのかはまったく不明なのだが、そこいらも含め、どうも続刊では“兄と妹の共依存からの解放”という意外と奥深いテーマに踏みこんでいきそうな感じ。
この四角関係の続きを、楽しみにしている。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas