日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『恋愛ハーレムゲーム終了のお知らせがくる頃に』
『恋愛ハーレムゲーム終了のお知らせがくる頃に』 第1巻
竜騎士07(作) 緋賀ゆかり(画) 講談社 ¥600+税
(2017年4月7日発売)
日夜、ろくでもないハーレム妄想を脳内で繰り広げる冴えない少年・アスナロ。
そんな彼がひとりの悪魔の封印を解いたことで、その妄想が現実のものに。
巨乳、ロリっこ、ハーフにクール系、色とりどりの美少女を取りそろえたハーレムライフが始まる!!!
……と、あまりにベタベタな導入から始まった本作。
一見、ごく普通のハーレムラブコメ。
でもただひとつ違っていたのは……原作者は『ひぐらしの鳴く頃に』『うみねこの鳴く頃に』の竜騎士07だったのです!!!
というわけで、むりやりアスナロのハーレム要員になった美少女たち。
だが、それはアスナロに愛されたひとりだけが生き残れるという、過酷なデスゲームの始まりを意味していた……。
悪魔ゼパフルの奸計(かんけい)に囚われた美少女たちは、様々な課題(“スカートをたくしあげておしりを顔面におしつける”とか、いかにもなイベントばかり)をこなしつつ、ゲームのルールを探りながら、全員が生き残れるすべを探そうとする。
だが、そうそうに抜け駆けして自分ひとりが生き残ろうとする者が現れて……。
一見、かわいい絵柄のラブコメと見せかけて、とある拍子に突然ジャンルが変わり、狂気に満ちた惨劇が始まる……という竜騎士07お得意のパターンを、恋愛ハーレムものでもって展開したのが本作。
かわいいヒロインからグロやサスペンスまで巧みに描き分ける緋賀ゆかりの力もあって、0話で典型的な萌え萌えハーレムのはじまりを宣言したと思いきや、続く第1話でいきなりヒロインの首が飛んでるギャップとか、端的にいって最高である。
まだ1巻が刊行されたばかりだが、竜騎士07の魅力が凝縮された内容であり、もしかすると新たな代表作になるかも……という予感がしている。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas