「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『Rewrite』
『Kanon』『AIR』『CLANNAD』『リトルバスターズ!』と、リリースされるゲームは軒並みアニメ化され、そのいずれもが「泣ける!」「感動する!」「萌える!」「文学だ!」と熱烈なファンを生みだしているゲームブランド・Keyから、今夏、新たなアニメが登場した。
それがTVアニメ『Rewrite』だ!
原作にあたるゲーム版の企画・キャラクターデザインは、上記タイトルすべてのキャラクターデザインを担当した樋上いたるが手がける。
さらにシナリオ担当には豪華な3人! 『人類は衰退しました』『少女たちは荒野を目指す』でアニメファンには知られる田中ロミオ、『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』の竜騎士07、『リトルバスターズ!』にも参加した都乃河勇人といった名だたるメンバーだ。
そして音楽は“国歌”こと『AIR』主題歌「鳥の歌」を手がけた折戸伸治がメインで担当するなどなど……スタッフ名を眺めるだけでも大作感満点なのだが、その内容も従来のKey作品のさらに先を行く激アツな内容となっている!
物語は緑化都市・風祭で開催される街を挙げての収穫祭に向けて、風祭学院二年生の天王寺瑚太朗は不可思議なニュースを集め始めるところから始まる。
時期を同じくして、瑚太朗の身のまわりに妙な事件が起こるようになったのだ。
そこで、瑚太朗はオカルト研究会の部長・千里朱音に助けを求め、他の生徒たちを巻きこんでの調査を開始するのだが……。
ある種、王道といってもいい幕開けであり、ここから主人公・瑚太朗は美少女たちとの楽しい日常を送りつつ、様々な事件を解決し心を通わせていくのだろう……とだれもが予想することだろう。
何を隠そう、筆者もそのひとりであった!
しかし、本作はそんな我々の予想を軽々と飛び越えていく。
どんな展開になっていくのかはぜひ放送中のTVアニメでチェックしていただきたい!
ちなみにゲーム発売時は、ガラリと趣を変えるストーリーとオープニングテーマに、多くのプレイヤーが驚きの声をあげたものである。
そんな本作のアニメ化を手掛けるスタッフは、監督に原作ゲームのオープニングアニメを手掛けた天衝、構成・脚本協力に田中ロミオが名を連ねるほか、ゲーム版『CLANNAD』シナリオを手掛けた魁が脚本に、アニメ版『グリザイアの果実』メインアニメーターを担当した野中正幸がキャラクターデザインとして参加するなど、アニメ版も超豪華!
原作にも参加したスタッフや美少女ゲームのアニメ化に実績のあるスタッフがそろっているということで、そのクオリティにワクワクが止まらない♪
また、「ストーリーがすごい!」と言いつつも、もちろん劇中に多数登場する美少女キャラクターたちも見逃せない!
元気いっぱいな性格で、昔なじみの瑚太朗とは仲よしの神戸小鳥をはじめ、瑚太朗と口論の絶えない世間知らずのお嬢様・鳳ちはや、そして瑚太朗たちが入部することになるオカルト研究会の部長・千里朱音は、校内ではなぜか超法規的存在だったりと、みんな個性豊か。
さらに瑚太朗の後輩で、オッドアイを眼帯で隠している無口な少女・中津静流、そして凛とした性格で、トラブルメーカーの気がある瑚太朗に日々制裁を加えているカリスマクラス委員長・此花ルチア……などなど、ざっくりした設定を聞くだけでもドタバタで愉快な日常ドラマを想像できる、魅力いっぱいの女の子たちばかりなのだ!
ちなみに彼女たちには、みなそれぞれ何らかの秘密や能力を持っているらしい。そこにも本作ならではの「激アツ」要素が潜んでいる。どのようにアニメで表現されるのかにも注目してみてほしい!
『Rewrite』のアニメを観たあとに……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『Rewrite』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『Rewrite:SIDE-B』東条さかな(画) Key(作)
『Rewrite:SIDE-B』第1巻
東条さかな(画) Key(作) KADOKAWA ¥570+税
(2011年4月27日発売)
アニメ『Rewrite』を視聴するにあたり、コミカライズ作品を一読するのがオススメだ。
いくつかコミカライズ作品が存在する本作だが、そのなかでも『Rewrite:SIDE-B』はイチオシ!
原作ゲームにおける中津静流ルート(静流は上記のアニメ紹介内の画像参照!)を忠実にコミカライズしたストーリーとなっており、『Rewrite』の世界観に触れることができる。
序盤の愉快な日常ドラマから、終盤における宇宙規模の壮大なストーリー展開は圧巻で、全8巻と、比較的コンパクトにまとまっているのもうれしいところ。『Rewrite』のなかで超人気キャラ・中津静流と主人公がどのような結末をむかえるのか、アニメ版とは別軸としていっしょに楽しむこともぜひオススメしたい!
『Rewrite』のコミカライズ以外に、このマンガもおすすめ!
『人類は衰退しました ようせい、しますか?』
吉祥寺笑(画)田中ロミオ(作)戸部淑(キャラクター原案)
『人類は衰退しました ようせい、しますか?』第1巻
吉祥寺笑(画)田中ロミオ(作)戸部淑(キャラクター原案)
KADOKAWA ¥524+税
(2011年4月27日発売)
ゲーム『Rewrite』のシナリオを担当したひとりであり、かつアニメ版では構成・脚本協力もつとめる、田中ロミオ。田中氏の代表作といえば『人類は衰退しました』。アニメ化もされた人気作だが、そのコミカライズ作品『人類は衰退しました ようせい、しますか?』を紹介したい!
人間たちが衰退し、高度な文明を持つ新たな人類「妖精さん」たちが現れた未来を舞台に、旧人類と妖精さんの間をとりもつ「調停官」となった主人公のトラブルばかりの毎日を描いたファンタジックな作品だ。
設定も世界観も『Rewrite』とはまったく違う本作ではあるが、田中ロミオの紡ぎだすリアル×ファンタジーの醍醐味を本作などで知っておけば、アニメを見た時に「おおっ!」という新たな発見やおもしろさが出てくるかもしれない!
原作の小説版は、田中ロミオならではの多彩な知識量やブラックジョーク要素が強い作風だったが、このコミカライズ版は柔らかな絵柄とかみ砕かれたストーリーで、かなり読みやすい仕上がりとなっている。まったりとした世界観に浸れる一作だ。
<文・有田シュン>
ライター、編集者。シティコネクション所属。著書に『アウトサイダー・プラモデル・アート 青島文化教材社の異常な想像力』、『よみがえるケイブンシャの大百科[完結編] 』。編著に『KOWLOON'S GATE ARCHIVES』。