『店長、恋です。』
中田アキラ KADOKAWA \600+税
(2014年8月29日発売)
雇われコンビニ店長の西山は、就任一カ月になるも古株夜勤バイトの東野が苦手でしかたがない。初めて一緒にこなすことになった夜間勤務でも、正論で詰めてくる東野にぐうの音も出ない西山だったが、2人きりで話すうちにだんだんその印象が変わる。
この単行本は、コンビニエンスストアを舞台に、新米店長と古株深夜バイトのカップルを描いた表題作のほか、店長といわくのあったエリアスーパーバイザー・米村と新人バイト・安藤の新しい恋愛、そして大学の先輩後輩の攻/受の逆転エピソードという3話オムニバス形式。
教室や部活など、BLに適した舞台設定はわりと多いが、こと年齢差のある男同士がひとつ屋根の下に生活するという意味で、コンビニは女子の妄想をかきたてる何かがきっとあるのではないだろうか。
本作を含め、短編作品の多い著者だが、ここらで長編も読んでみたいところ。
ちなみに、おまけの描き下ろしマンガでは、世界観が同じコンビニで起きた2つのエピソードの時間経過を説明してくれて、それぞれの行動と感情の流れが把握できる。便利なうえに、本編では見られなかった安藤×米村の絡みまで見られて眼福、眼福♪
<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。