日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ノー・ガンズ・ライフ』
『ノー・ガンズ・ライフ』 第5巻
カラスマタスク 集英社 ¥600+税
(2017年5月19日発売)
『ノー・ガンズ・ライフ』は、首から上がそのままリボルバーの“銃頭男”が主人公の異色SFハードボイルド。
機械のパーツをつけた“拡張者(エクステンド)”があふれる街を舞台に、銃頭の拡張者・乾十三が“処理屋”として様々な依頼を解決していく。
ざらりと荒廃した未来都市に、硝煙と鉄の匂いがけぶる。
第5巻では、十三の整備を行う凄腕技師のメアリーとその兄・ヴィクターのエピソードにひとまずの決着がつく。
大戦中に十三の専属技師を務めていたヴィクター。
音信を断ち、今になって反拡張主義者のテロ組織“スピッツベルゲン”の一員として異形の姿で現れたヴィクターに何が起きたのか?
街にも人間にも、大戦の傷痕が色濃く残る。
しかし今巻では、そうした喪失を乗り越えようとするたくましさがかいま見える。
そして徐々に明らかになる十三と謎の少年・鉄朗の秘密……。
彼らは自分の過去とどのように向き合うのか。
巻を重ねるごとに血の通った格好よさと物語性が深まってきた。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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