日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ふしぎの国の有栖川さん』
『ふしぎの国の有栖川さん』 第2巻
オザキアキラ 集英社 ¥400+税
(2017年5月25日発売)
ヒロイン・有栖川鈴は16歳にして門限18時の超箱入り娘!
おじいさまに大事に育てられ、趣味は落語とおよそイマドキの女子高生らしくない。
中学も高校も女子校で「男女交際なんてまだ早い」と思っているほど古風な鈴だけど、通学電車で知りあった野宮くんに胸の高鳴りを覚えて……。
野宮はイケメンなうえに気さくで優しく、男女問わず人気者。
そんな彼は鈴にいたく興味を惹かれているようで(あくまでソフトに紳士的に)距離を詰めてくる!?
今のところ鈴にとって野宮は「初めての男の子の友だち」という認識だけど、友人たちに突っつかれて特別な存在として意識し始めるのだ。
鈴は礼儀正しく控えめなだけの“大和撫子”ではないのがいい。
自分の価値観を持っていて意志をキッパリ語ったり、意外に負けず嫌いな一面があるのも魅力的だ。
世間ズレしていないどころか男子と話すのも不慣れな鈴が、野宮のドキッとさせる言動にアタフタしながらもまじめに誠実に応えようとするのがめっちゃかわいい!
夏休み突入の本巻ではついに初デートも。
自分にとってはまだずっと先のことと思っていた恋の世界に踏みこんでいく、鈴の1つひとつの感情が初々しくまぶしいのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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