日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『鉄鍋のジャン‼2nd』
『鉄鍋のジャン‼2nd』 第1巻
西条真二(著) 今井亮・ムラヨシマサユキ(監修) KADOKAWA ¥620+税
(2017年6月9日発売)
往年の名作、いや怪作『鉄鍋のジャン!』。
その主人公だった秋山醤(ジャン)には息子がいて、あの五番町飯店に“あと取り息子”として舞い戻ってきた!
その名も「秋山醤」!
親子でおんなじ名前で顔もそっくり、まぎらわしい!
この秋山醤Jr.が活躍する“2nd”の第1話は、かつて五番町飯店に殴りこんだ秋山醤(父)のエピソードを思わせる。
とはいえ今回乗りこむのは秋山醤(父)の好敵手だった(っていっていいのかなあ)大谷日堂の店。
会いたかったぜ大谷!
作中では例によって食べものは粗末にされまくり、敏腕料理人になるために往年のバトルマンガを思わせる血の滲むような無茶な修行が繰り返される。
真似しちゃダメだからな!
それにしても、あいかわらず描かれている料理は超おいしそう。
精神のダークサイドに堕ちたかのようなジャンの料理勝負熱と、料理人仲間とのほのぼのとしたやりとり、そして自分の“神の舌”にはあいかわらず正直な大谷日堂など、前作の魅力は健在。
懐かしい面々と、また濃そうな新キャラの共演はファンにはたまらないだろう。
なかでも、この巻ではなぜか顔が描かれない、醤Jr.の母“五番町霧子”の登場は胸が熱くなる。
まるで秋山醤(父)が“中華の覇王”と呼ばれた祖父・秋山階一郎に受けたスパルタばりのスパルタを、キリコがじつの息子に施す様子が描かれている。
このあたりの家族の確執、どんなことがあったのか気になろうというもの。
今もっとも中華料理を食べたくなる作品。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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